内容説明
新川帆立大絶賛! 創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」受賞作
「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」――新川帆立(作家)
★感涙必至のお仕事ミステリーが誕生!★
~元看護師の著者が送る、命の物語~
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に務める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった――。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
127
読メでお気に入りさんが絶賛していた作品で手にとりましたが、期待を裏切らない素晴らしい一冊でした。主人公は残念ながら完治が望めない患者のいる長期療養型病棟に勤める5年目の看護士「卯月」。彼女には稀な特殊能力があり、普通の人には見えないモノが見えてしまいます。それは患者が何かしら気にかけている'思い残し'のものに。そんな患者のキモチに少しでも寄り添い、心おきなく旅立てるよう奮闘する彼女の姿にココロうたれます。ある意味、ファンタジーテイストではありますがテーマ的にはあくまでも生死なので、シリアスでもあります。2024/12/31
Karl Heintz Schneider
107
卯月は横浜にある青葉総合病院の長期療養型病棟に勤務している看護師。彼女は患者が「思い残していること」が視えてしまう。それが視える時その患者の最期が近いことが多い。今日もまた意識不明の男性患者のベッドのそばに十歳ぐらいの女の子が。著者は看護師として10年以上病棟勤務した経歴の持ち主。ところどころで語られる看護師あるあるが興味深い。「ナースステーションを出るまでは決して口にしてはいけない言葉。『今日は平和だね』それをうっかり口に出してしまうと必ず何かが起こると看護師界隈では都市伝説のように語り継がれている。」2024/06/22
machi☺︎︎゛
95
ナースの卯月には患者さんの思い残しが視える。完治の望めない人たちが多く入院する長期療養型の病院で働く卯月。そこに入院する人たちには死んでも死にきれない思い残した事がある。それを卯月なりに調べ思い残しがないようによりよい看護を目指し日々奮闘する。卯月がなぜ思い残しが視えるようになったのかはまた悲しい過去があって卯月自身もまだ乗り越えられていない。仕事に向ける思いや行動が真面目でこんなナースに見てもらえる人は幸せだと思った。2024/07/21
yutaka
91
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に勤める看護師・卯月咲笑は、死を覚悟した患者の「思い残し」が見えるようになる。患者の心残りを解消し、より良い看護を目指して奔走するようになるが…。 序盤は、何か話の掘り下げが浅いというか、各話があっさり終わる感じがしたが、中盤からはいい感じに感情も揺さぶられて良い。透子さんの「オペ室にいた時は、患者さんの死は負けだと思っていた」云々の件は本当に共感でき、仕事って結果だけでは無いよなって改めて思った。2025/02/07
みかん🍊
87
ナース卯月は長期療養型病棟で勤務している、療養に特化しリハビリして在宅に切り替える患者もいるが亡くなる患者も多い、大切な人を亡くした卯月はそれから患者の思い残しの人が視える様になり、なんとか解決してあげたいと動く様になっていた、転落により意識のない植木職人が見た子供は誰だったのか、石工の男性が思い残している女性は誰なのか5年目の卯月は先輩や後輩、上司に恵まれながら、患者に寄り添い悩み成長していくミステリでありナースのお仕事小説、ちょっとやり過ぎではと心配になるが真摯に仕事に向き合う姿がよかった。2024/06/12