出版社内容情報
吉田 量彦[ヨシダ カズヒコ]
著・文・その他
内容説明
不自由な今こそスピノザを!政治的閉塞に被われた現代社会に風穴を開けるもっともラディカルな思想。平易な文体で綴るまったく新しいスピノザ哲学の入門書。
目次
なぜオランダで生まれたか―スピノザの生涯(一)
破門にまつわるエトセトラ―スピノザの生涯(二)
町から町へ―スピノザの生涯(三)
どんな著作を遺したか―スピノザの思想(一)
なぜ「神学・政治論」を書いたのか―スピノザの生涯(四)
なぜ「哲学する自由」が大切なのか―スピノザの思想(二)
聖書はどんな本なのか―スピノザの思想(三)
自由は国を滅ぼすか―スピノザの思想(四)
激動のオランダと『エチカ』の行方―スピノザの生涯(五)
神はわたしの何なのか、わたしは神の何なのか―スピノザの思想(五)
ひとはどういう生き物か―スピノザの思想(六)
ひとはどうして感情にとらわれるのか―スピノザの思想(七)
ひとは自由になれるのか―スピノザの思想(八)
彼は自説を変えたのか―スピノザの生涯(六)と思想(九)
「死んだ犬」はよみがえる―その後のスピノザ
著者等紹介
吉田量彦[ヨシダカズヒコ]
1971年茨城県水戸市生まれ。慶應義塾大学文学部、同大学院文学研究科を経て、ドイツ・ハンブルク大学にて学位取得(哲学博士)。現在、東京国際大学商学部教授。専門は、一七・一八世紀の西洋近代哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
111
岩波書店さんからの全集刊行など、最近スピノザが注目されているように思える。國分功一郎先生は、個人・社会・自由・民主主義等の限界に直面する現代社会を先取りする思想として、踏み込んだスピノザ解釈を試みておられるが、本書は、生涯と著作をバランスよく紹介する概説書の位置づけ。強いて言えば、「神学・政治論」を「エチカ」の裏の主著として詳しく紹介しているのが特徴かもしれない。スピノザは、どうしてもホッブス・デカルト・ライプニッツとの対比で語られることが多いが、私は、この哲学者を「独創的な思考法の主」として吟味したい。2024/03/07
esop
67
国とは人間を理性的存在から野獣や自動人形におとしめるためにあるのではない/神が「あらゆるものごとに内在する原因」だとする一方で「存在するものはすべて神の内にある」/自由意志のないものも、自由でありうるか/あらゆるものはそれぞれできる限り、自らの存在に固執しようとする(コナートゥス)/自由意志のない世界に、それでもある意味での自由が認められるとすると、この「自ら動く」というあり方こそ、そうした自由に他ならない/理性には本来的にものごとを何らかの永遠の観点の下に置いてとらえるという性質が備わっている2024/08/20
樋口佳之
67
スピノザ、高校の倫社以来触れるお名前です。その生涯と主張がコンパクトにまとめられていたと思います。全15章ってシラバスみたい。/条件反射で汎神論者って覚えていたけれども、社会契約論を超える所が新刊が続いている原因なのかな。/著者の読みに関わるのかもだけど、自己陶冶にかかわる議論がひどく論理に傾くなあ。理想は孔子先生の晩年の境地、禅の高僧が目指していることとそれほど変わらないと思う事に、このあくまで理詰めで迫っていこうとするところが西洋なのかなあと思いながら読み終えました。2023/05/03
おたま
52
國分巧一郎の『スピノザ』に続いて読んだが、こちらの方が圧倒的に分かりやすい。だが、内容が薄いわけではない。スピノザの思想を語るときに、『神学・政治論』(吉田量彦は新訳を出している)をスピノザの「裏の主著」として、『エチカ』を「表の主著」として述べている。つまり『神学・政治論』をかなり大きく取り上げている。この切り口が本書を分かりやすくしているのではないか。『神学・政治論』におけるスピノザの目指したものは「哲学する自由」であり、それは『エチカ』における「自由」の考え方に直結するものだ。2022/12/25
ころこ
47
同じタイトルで同じ400ページの新書が並んだ。國分の方が難関で、その5分の1位の労力で本書は読める。15回の講義形式で「です。ます」調に因るだけではない平易さが本書にはある。大きな違いは、國分がドゥルーズによるフランス現代思想の文脈を軸にして主に『エチカ』の読解をしているのに対して、本書は光文社古典新訳文庫の『神学・政治論』を訳した著者らしく、『神学・政治論』における哲学する自由の議論に重心を移している。著者自身『エチカ』を表の主著、『神学・政治論』を裏の主著と呼んでいる。率直に言って『神学・政治論』に現2022/12/07
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