内容説明
一杯のコーヒーのもたらす至福の時間。それと似たものが人生にはいくつかある。酒と旅、どちらも浮き世を忘れて、しばし別世界に遊ぶことができる。そして一片の詩も一杯のコーヒーに似ている。ふわりと心を浮き上がらせ、別世界に遊ばせる――。読売新聞に連載されたコラム「四季」の二〇一六年四月から一年分を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あきあかね
26
読売新聞の短歌、俳句のコラムをまとめたシリーズ。著者の選ぶ作品は、雪が来そうな曇天を仰ぐ猫の「ため息」のような身近な日常の気づきをとらえたものから、壮大な天体たちの孤独まで広範で、短歌や俳句のわずかな文字が生み出す世界の広がりに驚かされる。 そして三行ばかりの著者の解説の妙。悠然として透徹した眼差し。印象的な文章は多々あるが、人生、生き方について触れた文がすっと心に染み入ってきた。 「死への態度は人それぞれ。怖がる人も泰然と構える人もいる。ただ何やら大きなものに自分を委ねるという点では⇒2020/09/02
とむ
1
何気ない時の中に喜びや悲しみを見出しつつ、その感情を直接表さないことで、読み手の心に問うてくる詩歌に溢れている。その詩歌に真摯に向き合うことこそ至福の時間であろう。2022/06/01