内容説明
世界大戦終戦直後、スラムに現れた怪物『塵の王』。正体を探るギードが出会ったのは、わずか十歳程度の――後に“クラウス”と名付けられる孤児だった。これは、『世界最強』へと至るスパイの過去と現在を巡る物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
55
すべては1巻に繋がる物語。いやあ、小さいとはいえクラウスにもこんな尖った頃が・・・。いや、他がギードさん以外ぶっ飛んでるから相対的にああなったのか・・・(意外とゲル婆まともな姿だ)?これまでも「灯」や「鳳」に影響残し過ぎな「焔」だけどこの巻で与えていた影響には(特に2話)震撼したわ・・・(でも、あれと合わせて犯人の細かい素性を知ったなら、と考えると怖い気も)。最後のクラウスの非情になる決断と絶望、心境もやるせない。2024/03/20
よっち
36
大戦終結直後。ディン共和国スラム街の軍を襲撃しては食料を奪い続けた怪物。単身スラムに乗り込んだギードが後にクラウスと名付けられる子どもと出会う短編集第5弾。ギードに拾われたクラウス、アルハラ&パワハラのゲルデ婆さん、ルーカス&ヴィレの双子兄弟、養成学校少女たちのトラウマ製造機ハイジ、そしてフェロニカ。そんな彼らに愛されるクラウスが、あんな時代もあったんだな…と驚かされる過去エピでしたが、そんな彼のかけがえのない居場所となっていた焔メンバーたちとの別れを経て今があると思うとなかなか感慨深いものがありますね。2024/03/27
オセロ
32
スラム街で塵の王と呼ばれたクラウスが焔に拾われて世界最強のスパイへと成長し、焔が崩壊した本当の理由が明かされる物語。 灯に負けず劣らずの個性的なメンバーとの賑やかな日々の中でクラウスがスパイの技術を習得し、スパイの心構えを学んでいく姿は彼の才能の片鱗を感じさせるものでありながら、リリィたちへの教え方がああなったのも納得。 そしてクラウスとハイジの間でなんやかんやあったらしいのですが、それを知った時のグレーテの反応は果たして…2024/02/23
しゃお
21
今回の短編集(といっても殆ど長編のようなものですが)、クラウスの過去編。クラウスの過去、想像つかなかったんですが、最初の頃は悪童だったんですね。それが焔のメンバーに調教(違)されて、あのクラウスになったかと思うと感慨深いものが。灯のメンバーとの知られざる関りもあったりして、そういった裏ネタも面白かったです。それにしてもますますノスタルジア計画の真の姿は見えてこないですね。本編での今後の展開も楽しみです。2024/04/10
シノミヤユウ
15
これまで断片的にしか知り得なかった『焔』の個性的な面々とのドタバタ生活が愛おしい。トラブルの絶えない賑やかな日々に笑い、その危機を鮮やかに切り抜ける『焔』の先輩達のカッコよさには痺れました。 クラウスの原点を知ることができ、精神的にも技術的にも未熟だった彼が皆の影響を受けながら成長する姿に胸が震えます。あの台詞の原点、この人だったんだ⁉︎ だからこそ、既に知っている崩壊と、裏に渦巻く闇に情緒壊れました。クラウスが何を抱いて生きているのか、そして世界にどのような種が蒔かれていたのかを垣間見せる短編集。2024/02/21