内容説明
ピップは贈られた遺産がミス・ハヴィシャムからのものだと信じ,彼女が娘のエステラの結婚相手として自分に紳士教育をしてくれるのではないかと期待をする.ところが,大都会ロンドンで成り上がりの紳士になったピップの前に,思ってもみなかった人物が恩人として現われる.果たして,その人物とは? 付・年譜(全2冊完結)
目次
主な登場人物
第二部(承前)
第三部
解説(石塚裕子)
ディケンズ年譜
訳者あとがき
挿絵=ジョン・マクレナン(『ハーバーズ・ウィークリー』一八六〇年十一月二十四日~一八六一年八月三日)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
137
なぜ人は告解するのか、なぜ神父様を父と呼ぶのか、今回は本当に腑に落ちた気がする。告解―赦しが、いつもピップとジョーの間であるからこそ、ピップも愛し赦すことが出来る青年となった。愛するという気持ち、誰かのためにという気持ちは、囚人の生き方をも変えられるのだ。貧富に関係なく、卑しい人間に安らぎはない。ディケンズ円熟期に書かれた今作品の底を流れる溢れるほどの愛の尊さを存分に味わった。Great Expectationsのタイトルも素晴らしい。greatとは何か、何をexpectするかで、生き様は変わる。2020/09/10
Willie the Wildcat
63
人生の糧。求め、求められる愛情。遺産であり”Expectation”。故のミス・ハヴィシャムとマグウィッチ、2人の心の痛みの癒し方の対比が印象的。運命の悪戯の齎す繋がり。知る痛みと知らない痛みが両者の最期にも反映。一方、ジャガーズとウェミックに垣間見る意外さが、誰しもが心底に持つ温かみ。窮地にたった時の信頼や愛情。学びや気づきが生き方の深みとなる。エステラとの再会場面も、同様。淡い思い出への区切りではなく、人生の本質への2人の再出発の区切り。”サチス(荘)”は満足というより、感謝であり希望と解釈したい。2016/03/20
syaori
59
下巻は怒涛の展開! 様々な事件や出来事の真相が明らかになっていくうえ、ピップの行った善い事や悪い事の報いも表われて、ページを捲る手が止まりません。作者は登場人物たちの良い部分だけでなく醜い部分も冷酷に、愛情深く描き出しますが、そのなかでピップの親友、ジョーとハーバートはどこまでも友に誠実で「本分を尽くす男」。この二人の存在が莫大な財産と放蕩と驕りの中のピップを支え、物語は苦いけれども味わい深い結末にたどり着けたのだと思うと、彼らをピップに与えたことが作者から読者への“大いなる遺産”だったように思いました。2020/01/31
NAO
55
ピップははっきり言って恩知らずで身の程知らずなところがあるが、ようやくちょっと自我が芽生え始めたばかりの少年が恐怖を味わい、身分差別の屈辱を味わわされたらこんな風になってもしかないのかなあとも思う。ピップの周囲にはジョーやビディ、ハーバードといった善意の人もいるのに、ピップがなかなかそちらの方には目がいかないことこそが、当時のイギリスの社会の問題だったのだろう。そして、そんな社会に復讐しようととんでもない計画をしたのが、ミス・ハビシャムと囚人マグウィッチだったのだ。⇒2026/06/15
やいっち
54
久々に読んだディケンズの小説。晩年の作らしいけど、構成のち密さもいいが、表現力や想像力の逞しさに感服。物語の面白さを堪能した。今更だけど、ドストエフスキーらへの影響を実感。 2015/06/30
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