内容説明
謎の人体発火現象。
陰陽師の呪いに、挑め。
安倍晴明、蘆屋道満……そんな平安時代の陰陽師に連なる存在として、複数の大学が調査を行っていた呪詛師・蘆屋炎蔵。
だが、彼の墓を調べた研究者たちが相次いで体調を崩し、さらに翠明大学准教授が謎の焼死を遂げる。殺人か、呪いか。
皆が疑心暗鬼に陥る中で、鷹央は事件に潜む「病」を看破するが、それは新たな呪いの始まりでしかなかった……。
書き下ろし掌編「新しい相棒」収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
33
平安時代の陰陽師蘆屋炎蔵の墓を調査した大学准教授の焼死による不審死。天久鷹央は真実を求め思わぬ事態に繋がってゆくメディカルミステリ。蘆屋炎蔵の墓を調査したことに端を発した、呪いの噂と人体発火現象。これは殺人か呪いか。様々な憶測が飛び交う中、偶然人体発火現象の現場に居合わせたことで、有力な容疑者として警察にマークされてしまう小鳥。手がかりが少ない中で追い詰められながらも、真相に迫る展開には緊迫感があって、相変わらずチャンスに詰めが甘い小鳥先生が、鷹央との絆は認めつつある辺りに微笑ましい気持ちになりました。2024/02/05
ブルーベリー※更新は控えめです
19
連続して人が燃死する事件が発生。発火の謎が呪いかと思わせられるような展開。病も絡みつつ、今回も見事に謎が解き明かされる。鷹央と小鳥、特に今回は鴻ノ池が見事な活躍ぶりでした。新しいバイクを買う小鳥が不憫で可哀想でした。2024/02/18
tomtom
17
舞の新車だけじゃなく、自分の買いたいわけではない車種の車を買わされてしまう小鳥遊先生が不憫になる。2024/04/23
もっぱら有隣堂と啓文堂
12
天久鷹央シリーズの完全新作3作&完全版13作を実業之日本社文庫が7か月間連続刊行する2月配本第5弾の3冊め。時点は5月中旬、「甦る殺人者」の前、基準から10か月程度、時系列では9番目あたり。人体自然発火現象なのか放火なのか時限発火装置付きなのか呪いなのかとか、犠牲者が発火した原因を追っていく。本筋は単純だったが、条件が複数重なっていて見た目は複雑化していたというお話。掌編「新しい相棒」付き。RX-8は燃やされるわ、これまた燃えた舞のカワサキを買い替えさせられるわ、小鳥遊は本当に苦難続き。いつか春が来るのか2024/02/16
NAOAMI
10
陰陽師の研究と称して呪詛師・蘆屋炎蔵の墓を調べた大学の研究者たちが炎がらみで相次いで死亡。これぞ炎蔵の呪い?と鷹央と小鳥遊が捜査。しかしやたら現場に居合わせた小鳥遊が容疑者筆頭と扱われる始末。自然発火現象と自動着火装置という相反する手段の違和感。ガソリン使用のベタ放火もあり手口が一定しない。この混沌が動き出す後半、小鳥遊・鴻ノ池が珍しく雑魚を警察に突き出し、それを機に被害者の残した保管血液からビビッと原因物質Xが特定される終盤の流れは鉄板。火の中ぶっこみシーンは臭過ぎだが二人の信頼関係は深まりめでたしか。2024/03/22