内容説明
情報通信技術の発展によって、図書館も従来のように印刷された「紙の本」を貸し出すだけの場所ではなくなっている。新聞・雑誌記事を検索できるオンラインデータベースや学術雑誌の電子ジャーナル、電子書籍を貸し出す「電子図書館」などの取り組みが広まり、図書館が扱うべき資料の性質は大きく変化しつつある。その変化に対応するため、従来の「図書館資料」よりもさらに広い対象を表す言葉として使われるようになったのが「図書館情報資源」という言葉である。
それでは、情報資源はどのように生み出され、どのような流通過程を経て図書館に辿り着き、図書館では情報資源をどのように受け入れ、管理して利用者に届けているのか。情報資源にはどのような種類があり、図書館はどのような方針のもとで自館に仕入れるべき資料を選別・収集しているのか。そして図書館員は選書のための書籍や著者の情報をどのようにして得ているのか。公立図書館を中心に、現場への取材に基づいた具体的な事例紹介と豊富な図版・資料から解説する。
目次
はじめに
第1回 図書館情報資源とは
第1章 図書館情報資源の範囲
1 言葉の定義
2 図書館情報資源の種類
第2章 図書館情報資源と図書館サービス
1 公立図書館の利用状況
2 公立図書館の利用拡大のために必要な図書館情報資源
第2回 印刷資料の類型と特質
第1章 図書の種類
1 言葉の定義
2 図書の部位と判型
3 大活字本
第2章 雑誌の種類
1 言葉の定義
2 商業雑誌
3 学術雑誌とインパクトファクター
第3章 新聞の種類
1 言葉の定義
2 原紙と縮刷版
3 専門紙・業界紙
4 東京都港区立三田図書館の事例
第4章 加除式資料・小冊子・地図
1 言葉の定義
2 加除式資料
3 小冊子
4 地図
第3回 非印刷資料と図書館情報資源の歴史
第1章 非印刷資料
1 言葉の定義
2 マイクロ資料
3 映像資料
4 音声資料
5 点字・録音資料
第2章 一次情報資源と二次情報資源
1 言葉の定義
2 文献の種類と単位
3 二次資料は情報資源を探すためのツール
第3章 図書館情報資源の歴史
1 言葉の定義
2 情報の保存・利用・共有化
3 情報メディア略史
第4回 電子資料、ネットワーク情報資源の類型と特質
第1章 電子資料
1 言葉の定義
2 電子資料の種類
3 電子資料の利用上の注意
第2章 電子書籍
1 言葉の定義
2 紙の図書と電子書籍の違い
第3章 電子図書館
1 言葉の定義
2 公立図書館による電子図書館サービスの導入
3 長野県立長野図書館の事例
第4章 ネットワーク情報資源
1 言葉の定義
2 e-Stat、ジャパンサーチ
3 鳥取県立図書館「とっとりデジタルコレクション」の事例
第5章 機関リポジトリ
1 言葉の定義
2 機関リポジトリと地域共同リポジトリ
第6章 商用データベース
1 商用データベースの概況
2 長崎県長崎市立図書館の事例
第7章 電子ジャーナル
1 言葉の定義
2 電子ジャーナルの発展と現状
第8章 ディスカバリーサービス
1 言葉の定義
2 ディスカバリーサービス導入の現状
3 京都府立図書館の事例
第5回 地域資料、行政資料(政府刊行物)、灰色文献
第1章 地域資料
1 言葉の定義
2 「郷土資料」または「地域資料」
3 東京都新宿区立角筈図書館の事例
4 大阪府大阪市立図書館の事例
5 山梨県のつなぐNPOの事例
第2章 行政資料
1 言葉の定義
2 静岡県立中央図書館の事例
第3章 政府刊行物
1 言葉の定義
2 「官報」の内容
第4章 灰色文献
1 言葉の定義
2 灰色文献の事例
第6回 情報資源の生産(出版)と流通
第1章 出版業界
1 言葉の定義
2 出版業界の概況
3 最低限知っておきたい出版社
4 出版業界と図書館業界の関係
5 東京都江戸川区立篠崎図書館の事例
第2章 出版物の流通経路
1 言葉の定義
2 図書が読者に届くまでの流通経路
3 図書ができるまでの流れと日本図書コード
4 取次と書店の業務
5 委託販売制と再販売価格維持制度
6 書店の概況
7 1冊の図書ができるまで
第7回 図書館業務と情報資源に関する知識
第1章 図書館の資料購入
1 言葉の定義
2 図書館の主な資料購入先
ほか