内容説明
「Google」検索や生成AI、「Wikipedia」「YouTube」「Instagram」「X」などを利用して情報を取得する人の数が増え続ける一方で、図書館による情報サービスの利用者はそれほど多くない。情報過多の時代に、来館者や地域コミュニティーにより広く資するサービスを提供するためには何が必要なのか。
本書は、大学で履修する「情報サービス論」の項目を詳解するのに加えて、司書資格の取得を目指す人がぜひとも知っておくべき大学図書館や専門図書館、学校図書館の事例も取り上げる。図書館でおこなう情報サービスを幅広く解説しながら、研修にも利用できる実践的な内容を取り扱う。
基礎的な用語の定義や有効な理論、様々な図書館での実践例、継続的にサービスの質を向上させていくための体制づくりなども、豊富な図版・資料から丁寧に解説する。学生だけではなく、他部署から異動する人や現役の図書館員にとっても有用な一冊である。
目次
はじめに
第1回 日常生活と図書館
第1章 情報要求を満たす道具は何か
第2章 司書資格の取得を目指す大学生の図書館利用状況
1 利用頻度と目的
2 図書館サービスが有料になった場合の支払い意思額はいくらか
第3章 情報サービス論を学習する意義
第2回 情報社会と図書館の情報サービス
第1章 言葉の定義
第2章 情報社会
1 国の動向
2 図書館と図書館員の役割
第3章 図書館の情報サービス
1 「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」の図書館の情報サービス
2 間接サービス
3 直接サービス
第3回 図書館での情報サービスの意義と種類
第1章 情報サービスの意義
1 「図書館サービス概論」の理解
2 情報サービスの利用や提供状況
3 福島県いわき総合図書館の事例
第2章 情報サービスの種類
1 概要
2 茨城県牛久市立中央図書館の事例
3 宮城県仙台市民図書館の事例
4 神奈川県逗子市立図書館の事例
第4回 レファレンスサービスの理論
第1章 言葉の定義
第2章 利用者の情報行動
1 情報探索行動モデル
2 タラーによる質問者の情報要求の解決に向けたモデル
3 アイゼンバーグによるビッグ6モデル
第3章 レファレンスプロセス
1 レファレンスの過程
2 レファレンスインタビュー
第4章 事例の活用
1 記録を残す
2 参考になる事例集
第5章 組織と担当者
1 組織
2 担当者
第6章 サービスの評価
1 社会や役所のほかの課に理解できる評価項目の設定
2 論文から得られる評価方法
第5回 レファレンスサービスの実際
第1章 言葉の定義
第2章 対面とメールのレファレンス事例
1 東京都M区立A図書館の事例
2 東京都B区立図書館の事例
第3章 レファレンスサービスの体制づくり・実施・普及・現状と問題点
1 石川県野々市市立図書館の事例
2 岡山県立図書館の事例
第6回 情報検索サービスの理論と方法
第1章 言葉の定義
第2章 情報検索とは
1 私たちが特に意識せずに使用している言葉
2 フィルターバブルとエコーチェンバー現象
3 情報の評価
4 自然語と統制語
第3章 論理演算(ブール演算)
1 論理演算
2 AND検索
3 OR検索
4 NOT検索
第4章 トランケーション
1 トランケーションを利用できるものと利用できないもの
2 前方一致検索
3 後方一致検索
4 中間一致検索と完全一致検索
第7回 各種情報源の特質と利用法
第1章 「図書館情報資源概論」の学習内容の理解
第2章 印刷資料
1 大阪府立中之島図書館の事例
2 岩手県一関市立一関図書館の事例
第3章 非印刷資料
1 宮城県図書館の事例
2 下関市立中央図書館の事例
第8回 各種情報源の解説と評価
第1章 評価の視点
1 図書館情報資源の利用状況の評価
2 図書館情報資源そのものの評価
第2章 参考図書の評価例
1 図書館に配属されたら1週間以内に1度は手に取るべき最低限の参考図書
2 評価の項目
3 『現代用語の基礎知識 2025』の評価例
4 『理科年表 第98冊(令和7年)』の評価例
第3章 ネットワーク情報資源などの評価例
1 解説と評価の項目
ほか