内容説明
子どもに本を手渡すこと、学びを支えること、孤立しがちな子育て世帯を支援すること――図書館の児童サービスは、その一つひとつが地域の基盤に関わっている。読み聞かせやおはなし会に代表される活動の背後には、理論と制度、そして多様な実践の積み重ねがある。
本書では、司書資格取得のために大学で履修する「児童サービス論」の内容を軸に、用語の整理から発達段階に応じた選書や読み聞かせ、レファレンスなどの具体的な手法までを順を追って丁寧に解説する。公立図書館や学校図書館、専門図書館の取り組みを紹介し、現場の実情も具体的に示す。
子どもを取り巻く環境の変化を踏まえて、学校や家庭、地域との連携、資料の多様化とアクセシビリティーへの対応、催事の企画や運営など、これからの図書館に欠かせない視点にも目を向ける。著者による絵本の詳細な評価例も所収する。
学生のテキストとしてはもちろん現場に立つ館員が日々の業務を組み立て直す際にも参照できる、実務に直結する一冊である。
目次
はじめに
第1回 公立図書館と子育て支援の未来
第1章 司書資格の取得を目指す大学生の図書館利用経験
1 幼少期の読書経験
2 読書で得られると思うこと
3 本の読み方の指導経験
4 初めての図書館利用
5 公立図書館の催事参加経験
6 ヤングアダルトコーナー利用経験
第2章 子育て支援と図書館サービスの融合に向けて
1 図書館は子育て世代の居場所になれるか
2 子育て世代と図書館利用の現状と課題
3 税金で支えられる図書館サービスを子育て支援と結び付ける重要性
第2回 発達と学習での読書の役割
第1章 言葉の定義
第2章 発達段階
1 エリクソンの心理社会的発達理論と人格形成の過程
2 ハヴィガーストの発達課題論に基づく人間発達の理解
3 ピアジェの認知発達理論
第3章 読書能力と読書興味
1 読書心理学の体系化と発達段階
2 読書の穏やかな力
第4章 年齢別図書リストの事例
1 広島県東広島市立サンスクエア児童青少年図書館の事例
2 埼玉県北本市立中央図書館の事例
第3回 児童サービスの意義(理念と歴史を含む)
第1章 言葉の定義
第2章 アメリカの児童サービスの歴史
1 アメリカの児童図書館の誕生と背景
2 アメリカの公共図書館と児童サービスの発展
第3章 日本の児童サービスの歴史
1 戦前
2 戦後
3 石井桃子『子どもの図書館』
4 子ども文庫
第4章 児童サービスの目的
1 国際図書館連盟(IFLA)の児童図書館サービスのためのガイドライン
2 日本の児童サービスの現状
3 公立図書館で児童サービスをおこなう意味と目的
第4回 児童資料(絵本)
第1章 言葉の定義
第2章 絵本の種類
1 赤ちゃん絵本
2 物語絵本
3 昔話絵本
4 ナンセンス絵本やユーモア絵本
5 言葉遊び絵本やリズム絵本
6 ノンフィクション絵本
7 絵のなかから特定の人や物を探す絵本
8 季節や行事に関する絵本
第3章 絵本の評価
1 6冊の教科書による絵本の評価
2 公立図書館での実務的な絵本評価例
3 実際の評価例
第5回 児童資料(物語と伝承文学、知識の本)
第1章 公立図書館での児童図書の蔵書構築と基本図書リストの活用
1 公立図書館での児童図書の蔵書構築と選書の考え方
2 公立図書館での基本図書とそのリストの概要
第2章 物語
1 子どもにとっての物語の意義と特色
2 基本図書の例
3 公立図書館での実務的な物語評価例
4 実際の評価例
第3章 伝承文学
1 言葉の定義
2 伝承文学の種類
3 伝承文学の評価項目
第4章 知識の本
1 児童図書での知識の本と蔵書構成の特徴
2 知識の本の具体例と評価例
3 知識の本の評価項目
第6回 児童サービスの実際(資料の選択と提供、ストーリーテリング、読み聞かせ、ブックトークなど)
第1章 資料の選択と提供
1 図書館情報資源概論の理解
2 児童サービスでの資料の選択と提供の意義と実践
第2章 ストーリーテリング
1 言葉の定義
2 図書館でのストーリーテリングの意義と実践
第3章 読み聞かせ
1 言葉の定義
2 読み聞かせの心構え
3 効果的な読み聞かせのための本選びのポイント
4 読み聞かせの実践テクニック
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