内容説明
「藍千堂菓子噺」シリーズ第5作!
物語を彩るのは藍千堂謹製、初夏の上菓子三品。
さちの友だち、おとみが母親に捨てられた!?
境遇が移り変わっていく幼い少女たち。
さちが遊びに行ったおとみの家で、
おとみの母親が百瀬屋の上菓子を出してくれた。
おとみは、上菓子を生まれて初めて食べた様子。
さちは「藍千堂の方が美味しい」と感じるが、
「でも、どうして上菓子を出してくれたのだろう」。
さちが微かな違和感じた次の日、おとみの母はいなくなった。
おとみの母は、おとみを残して町火消の組頭に嫁入りした。
嫁ぎ先が生さぬ仲の娘を嫌ったため、おとみは置き去りにされたのだ。
大工の伯父夫婦が養女として引き取ることで、すでに話は済んでいた。
大工は金を握らされ、おとみを引き取ったと噂されている。
頑固で口下手な叔父に馴染めず、またその叔父から「おさちとは、
あまり仲良くするな」と諭され、不安になるおとみ。
そんな時、事件がおこり、おとみは「藍千堂」へ逃げ込んできて――。
おとみの騒動をきっかけに、ふと自分の境遇に思いをはせるさち。
なぜ、自分の年齢がひとつ減ったのか?
急に、「とと様」が自分の父になった訳は?
さちも少しずつ大人になっていく――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
初美マリン
100
思いっきりので人情話で、子供たち大人たちの思いやりがいっぱい。さすが時代小説の典型で心地よい読後感。2023/10/23
タイ子
87
「藍千堂」の娘・さちにたった一人のともだちがいる。おとみちゃんという子はお母さんと二人で長屋暮らしをしていてさちは初めて家に招かれた。翌日、おとみちゃんのお母さんが再婚のため一人で好きな男の元に行ってしまった。娘がいては結婚のジャマになる、母が幸せになるためには私はいてはいけないんだ。それぞれの想いが交錯しながら、子供が成長していく姿、親が子供に対する愛情の深さを切実に描く今作。おとみちゃんの事があり、さちも自分の境遇を想い始める。自分たちを想い寄り添ってくれる大人たちが側にいれば幸せになるよ、きっと。2024/04/24
雅
68
子供って大人が思っているよりもずっと大人ですね。一人前だと思って接しよう。2023/12/09
真理そら
64
なんとなくお菓子屋の物語ではなくなってきてる気がする。お糸より影薄の幸次郎…なんだかなあ。2023/07/09
はにこ
63
久々にこのシリーズを読んだので少し忘れている。さちちゃん、せっかくお友達ができたのに、母親がちょっとね。。まぁ、心の病気らしいけど。おとみちゃんが母親の幸せを願っているのが切ないな。家族に血縁は必要ないけど、血縁があるとどんな奴でもおっかさんなのかもね。さちと晴太郎の仲にヒヤッとしたけど、雨降って地固まる。良かったね。2023/10/24