内容説明
宝玉の誕生日を機に皆が集い,身分を超えて仲睦まじく過ごした夜.しかしこれは楽園の最後の輝きだった.夫が内緒で娶った側室をいびり殺す王煕鳳,大人たちの諍いの生贄となって追放される晴◆,家の体面を必死で守ろうとする探春.だがついに宝釵が賈家を離れ,宝玉の夢の世界は音を立てて崩れ始める.
目次
本冊の読みどころ
本冊の主な登場人物
主要登場人物系図
第62回~第80回
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tonex
3
普通に小説として面白く、中国雑学百科としても面白く、ヘンテコでツッコミどころ満載という意味でも極めて面白いのに、読書メーターにもAmazonにも全くレビューが書かれていない。たいていの人はだいたいこのあたりで挫折するのだろう。2014/12/24
しんすけ
1
本巻は62回から始まる。話は後半に到る訳だが、漸く佳境の感を呈す。物語は賈敬(賈赦や賈政の従兄弟)の死から始まる。だから話は、喪中を背景に進む。賈蓀の結婚(妾として尤二姐を囲う)騒ぎ。柳湘蓮の誤解からの尤三姐の凄烈な自殺。さらの賈蓀は新たに父(賈赦)からも妾を賜る。賈蓀の本妻王熙鳳はこの状態に怒るものの、表に出さず策謀を巡らす。その策謀に懸かった末、尤二姐が悲哀の自殺に追い込まれる。これらが、賈敬の喪中の最中に展開されるのだがら凄ましい。清朝期の中国社会では非常識にも観える。2015/11/19
→0!P!
0
お屋敷は、評判の良くない側室とお付きのものたちの徒党を組んだ争いに巻き込まれて行く。大概ターゲットは、熙鳳だが、その熙鳳とて賈璉の放蕩のために涙を飲んでばかりだ。ときには、血をみる結末を迎えることも多くなく、この巻では、晴雯がその犠牲となる。相変わらず詩歌の奥ゆかしさと華やかさに風雅を感じさせる傍ら、一層毛羽立ってくる人間の生々しい卑しさが跡を立たず、源氏物語とはまた異なった露骨な偶像劇が繰り広げられている。2022/06/11