内容説明
20世紀末、地球は未知の異星種族の手になる惑星破壊機械の襲来を受けて炎上、壊滅した。べつの異星種族に救出された数千人の人々は、太陽の軌道上の宇宙船に収容されて“銀河法典”の教育を受ける。この法典によれば、破壊機械を送り出してほかの惑星を壊滅させた文明は、みずからもまた滅ぼされなければならないという。地球壊滅から8年後、生存者のなかから選ばれたマーティンら85人の子供たちが復讐の旅に出た。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジンベエ親分
6
「天空の劫火」の続編というか、続きの話。つまり地球が既に破壊されて存在しない時点から話が始まるわけで、この「あり得ない設定」の中の登場人物の感情や思考に読み手の感覚をアジャストできるか否かが、この手のSFを楽しんで読めるかどうかの勝負。前半でマーティン達と一緒に無力感、不信感、絶望感、疑心暗鬼を感じることができれば、作者の勝ちなのだろうけど。あり得ない、しかも圧倒的なスケールの「絵」を頭に描かきながら読まねばならないので、頭を振り絞って読む独特の感覚は、SFの醍醐味だよねー。2015/12/30
レイス
4
宇宙戦争をしに行く若者たちの宇宙船。アニメ「バイファム」を思い出したりしたけど、そんな単純な話ではない。まず、この広い宇宙から復讐相手を探さなくてはならないとは。目星があるにしても、遠い、遠い。ワープがなければ波動砲も機動戦士もない。しかし!SFファンには地道だけど科学的な索敵や移動、今の技術を超えるテクノロジーに惹きつけられるのです。ただ、このタイトルは引くなぁ。今まで読んだ(見た)宇宙戦争物の中でこの作品が一番リアルだと思う。2021/12/26
ニミッツクラス
1
94年の初版(660円)を読んだ。カバーは前作「天空の劫火」に引き続いて加藤氏で、上巻である本書では、“法律の船”の船首部分を描いている(上下巻で一幅だ)。「天空の劫火」で人類は(地球は)文字通り驚天動地の結末を迎え、それでも“保護者”に抽出された少数の人類には系内での未来がある。他方、売られた喧嘩には倍返しのキッチリした“法律”を執行すべく、子供たちは復讐の旅に出る・・「天空の劫火」の勢いで本書に入ると、まだ上巻なんだよって思い知らされる。奈辺で原題ANVILの意味が確定するのか・・下巻へ。★★☆☆☆☆2014/11/10
赤井流久
0
☆2013/06/07
マサトク
0
「天空の劫火」の続編。生き残った人類から選ばれた若者たちが、彼らを救った存在の作り出した「法律の船」に乗り、地球を破壊した機械知性を送り出した異星文明に復讐するべく旅に出る……劉慈欣の「黒暗森林」理論だなあ、と思いながら読んでいたが、これが下敷きになっていたりするんだろうか。話自体は一大スペクタル、になる前の船内の様子が延々描かれていて、丹念だけど地味な部分長いなーという感じ。この巻は偽装された罠と思しき惑星を破壊したが大きなダメージを受け、他星の「法律の船」に探査船を出してランデブーするところまで。2023/05/08