内容説明
同心は岡っ引きの過去と向き合わねばならぬ。
岡っ引きになる前の五六蔵を手助けしていた伊蔵が浪人の姿をして現れた。かつて仲間であった三治が殺されたので、急ぎ報せに上方から戻ってきたと言う。下手人は五六蔵に底無しの恨みを抱く殺し屋〈雲の翔〉らしい。大昔に関わった事件が今となって蘇り、息を呑む五六蔵。そしてさらなる凶報が届いた。定町廻り同心夏木慎吾の大先輩で、祝言を挙げたばかりの中村広茂お菊夫妻が何者かに襲われたというのだ。
いったいなぜ?
己の過去に堅く口を閉ざす五六蔵に、これまで全幅の信頼を寄せていた慎吾はいら立ちを隠せない。下手人捕縛に焦りがつのる中、またもや悪い報せが……。慎吾と五六蔵の仲が試される、疾風勁草の第五弾!
●夏木慎吾……江戸北町奉行所定町廻り同心。天真一刀流免許皆伝。父親は北町奉行の榊原主計頭忠之だが、正室の子ではないため母の実家夏木家で育ち、祖父の跡を継いで同心になった。
●五六蔵……深川永代寺門前仲町の岡っ引き。慎吾の祖父に恩がある。若い頃のことは今のところ謎で、やくざの親分だったとの噂もある。
●国元華山……霊岸島川口町に診療所を構える二代目の町医者で、腑分けに長けた女性。
感想・レビュー
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やま
61
天真一刀流免許皆伝で北町奉行所定町廻り同心の夏木慎吾の活躍の物語です。江戸は深川永代寺門前仲町の旅籠「浜屋」の五六蔵(ごろぞう)は、元は北町奉行所の隠密同心・佐倉陣八郎であったが二十年前に身内を殺されて、本来捕縛する悪党一味どもを皆殺しにした。このために佐倉陣八郎は、死んだ事になって、岡っ引き・五六蔵として出直すこととなった。2023/06/18
蕭白
7
あっという間に読み終えてしまいました。終わった気がしないけど・・・。2023/10/19
Suzu
0
春風同心十手日記シリーズ第5弾。五郎蔵の辛すぎる過去が語られる。私だって、もし五郎蔵の立場だったら同じことをしたのではないだろうか。祝言をあげたばかりで幸せいっぱいだった慎吾の同僚の中村夫妻の死、五郎蔵の手下の松次郎の死など哀しい場面が多い。でも慎吾が最後にきっちりカタをつけてくれてすっとした。これで終わりなの?2025/01/03