内容説明
明治五年(1872年)。近代化が進む明治の世は、武士という存在を置き去りにして進みつつあった。娘の野茉莉とともに京都に移り住んだ甚夜は、昼は蕎麦屋を営みながらも、夜は相も変わらず鬼退治を生業にしていた。新時代になったものの、鬼の討伐依頼は増え続けるばかり。その陰には、どうやら「マガツメ」なる存在がかかわっているようだが……。大人気和風ファンタジーシリーズの第五巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由多
21
この人が、天女で朝顔だったのか。約束を覚えてもらえてたって、すごく嬉しいよね。りんご飴食べたくなった。懐かしい人との再会は、良くも悪くも甚夜の心を激しく揺らす。しかしマガツメの思惑も正体もわからないまま、甚夜の異能も封じられたまま続くとは。2023/12/15
ツバサ
8
落ち着いた雰囲気になっていて、それだけ甚夜が年を重ねたということか。激しい戦いは少なく、移ろう時代と取り残される武士の心情が切ない。今と未来が交差するエピソードにはほっこりしました。ブログにてhttps://wing31.hatenadiary.jp/entry/2023/03/15/2041522023/03/15
陽ちゃん
7
シリーズ5作目。時代は明治に入ったところ。甚夜が野茉莉の父親をやっているのが微笑ましいです。そして、平成の時代から時代を超えて明治に来てしまった薫と甚夜が会っていたからこその、現代での「朝顔」呼びだったんですね。それにしても夜鷹さんの手記、笑っちゃいました。2023/05/06
くーすけ
6
時代は明治。武士の世の終わり。直次の苦悩が胸に迫る。直次は幸せになってほしかった。時空を超えた薫との出会い、ちとせとの再会に、心が温かくなる。時代の移り変わりの中で、出会いを重ね、守るべきものを見つけていく甚夜。最後の夜鷹の手記のくだりは笑った。2023/04/18
バナナ牛乳Ⅱ
6
本巻は鬼人幻燈抄第5巻に当たる物語で、第4巻である幕末編からは4年半の歳月が流れています。これまでの物語は、自身の生き方を探し彷徨う甚夜を軸に描かれていました。しかし明治編からは、父親となった甚夜と、娘の野茉莉の親娘が軸となり、物語が移ろいゆきます。そして巻を追う毎に鬼人幻燈抄という物語は、過去や未来に結びつき、その魅力は益々美しく花開いていきます。本巻では、約束の成就や再会が鮮やかに描かれ、温かい気持ちになれました。まだまだ面白くなり続ける鬼人幻燈抄、次巻は明治の中編となります(・∀・)2023/03/15