内容説明
喪失の苦しみを優しくほどく、お葬式小説。
人よりも“気”に敏感な体質を持つ清水美空が、スカイツリー近くの葬儀場・坂東会館で働き始めて一年が経とうとしていた。若者や不慮の死を遂げた方など、誰もが避けたがる「訳あり」葬儀を好んで引き受ける葬祭ディレクター・漆原のもと、厳しい指導を受けながら、故人と遺族が最良の形でお別れできるよう、奮闘する日々を過ごしている。
葬儀場が繁忙期を迎える真冬のある日、美空は、高校の友人・夏海と偶然再会する。はしゃぎながら近況報告をし合う二人だったが、美空が葬儀場で働いていることを聞いた夏海は一転、強張った表情で美空に問う……「遺体がなくても、お葬式ってできるの?」。夏海の兄は、海に出たまま五年以上も行方不明だった。家族の時間も止まってしまっているという。
交通事故に遭った高校生、自殺した高齢女性、妻と幼い息子二人を遺し病死した男性、電車に飛び込んだ社会人一年目の女性……それぞれの「お別れ」に涙が止まらない、あたたかなお葬式小説。
※この作品は単行本版『ほどなく、お別れです それぞれの灯火』として配信されていた作品の文庫本版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
174
『単なる終わりの儀式ではない。故人を悔いなく旅立たせ、見送る人々にも区切りとなり、前へと歩ませるための儀式』。『スカイツリーにほど近い葬儀場、坂東会館』で働きはじめて一年が経過したという主人公の美空。この作品にはそんな美空が『葬祭ディレクターを目指』して日々学びを深めていく姿が描かれていました。『葬儀社』の”お仕事小説”が描かれていくこの作品。そんな物語にほんのちょっぴり”ファンタジー”色を漂わせてもいくこの作品。『スカイツリー』のあるさまざまな景色がとても印象深く物語を演出してもいく、そんな作品でした。2025/09/12
itica
92
避けられないことではあるが、死に直面するのは辛いことだ。ましてや若い人の死、自死、残された幼い子供、そんな描写はせつない。故人を見送ることは、後に残る者にとっては別れと共に未来に進む儀式だと気付かされた。誰ひとり同じ人がいないように、葬儀の形も思いもそれぞれだ。遺族に寄り添いながら心を救うのは容易いことではないだろう。漆原の指導は厳しい。でも美空は確実に成長している。これからも美空を見守りながら、私も生と死を見つめて行きたい。 2024/02/29
のり
88
シリーズ第2弾。前作である意味、姉と祖母との別れを経験した「美空」。葬祭会館で働き始め1年が過ぎた。次の段階に進む為に上司の「漆原」は司会を任せようとするが、「美空」は踏み切れない。本作は4件の葬儀と友人の兄の話が並行する。葬儀とは区切の儀式。認知が重要になる。葬家の思いも様々あるが…着実に彼女の成長がみれた。次作も楽しみ。2025/11/26
Sato
58
今回のお別れもなかなか辛い。しかし重いテーマにもかかわらず、読み終えた後に胸に残るのは温かな希望だ。 突然息子を亡くした母親の激しい怒り。それらは本当に亡き人への哀悼なのか?物語は、悲しみや怒りが「すべてを奪われた自分自身への同情と怒り」に替わっている。 主人公の美空の役割は、遺族の感情を誘導し、その悲しみの矛先を「自分」から「故人への感謝と愛」へと戻す手助けをすること。 悲しみが癒えることはなくとも、故人の人生と遺族の想いに丁寧に寄り添った葬儀は、遺された者が前を向くための確かな「灯火」となる。2025/10/29
カブ
57
「ほどなく、お別れです」シリーズ第2弾。葬儀場「坂東会館」で葬祭ディレクターを目指し働く清水美空。様々なお別れの形があり心打たれる。亡くなった方の気持ちを推し量るのは難しいが、残された家族の気持ちに寄り添うことがお葬式の大切なことなんだと感じた。2025/05/15
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