内容説明
定年退職を目指して働く内裏女房のコウ子。だが女が集まる宮中に平穏が訪れるわけもなく……。離婚を機に復職した同僚の不穏な噂や夜な夜な響く赤子の泣き声、朽ちていく謎の庭。さらには帝から二人の女御のうち一人にだけ贈られる特別な唐錦が引き起こした女たちの対立。火種はどこにでも燻っている。図らずも帝の信頼を得てしまったコウ子は、内裏を騒がす事件と謎を解決しようとして思わぬ人物の秘密を暴くことになり…。死者と生者の思惑が交じり合う、平安京・働く女の秘密の事件簿第3弾!――噂、嫉妬、嫌がらせ…宮中では今日も誰かがこじれている。
目次
1章 魂呼
2章 玉衣
3章 竜胆の咲く庭
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
46
赤ん坊の泣き声に、庭木が枯れていく庭と、今は居ない中宮への贈り物…次々に難題が…2022/12/26
よっち
37
図らずも帝の信頼を得てしまった荇子。内裏を騒がす事件と謎を穏便に解決しようとするものの、思わぬ人物の秘密を暴くことになってしまう第三弾。離婚を機に復職した同僚の不穏な噂や夜な夜な響く赤子の泣き声、朽ちていく謎の庭。さらには帝から二人の女御のうち一人にだけ贈られる特別な唐錦が引き起こした女たちの対立。これだけ人がいれば人間関係もこじれるよな…と思いながら毎回読んでいますが、事情を察するのに長けていて、当事者や帝の思いを汲みながら上手い落とし所を見出してみせる荇子が信任されているのも分かるような気がしました。2023/01/18
らび
32
後宮ともなれば多くの美姫が美を競い互いにけん制し合い闇も蠢く・・中宮不在でいわば2トップの弘徽殿と麗景殿の間に起こる中宮ご指名の唐織物争奪戦!でもない。早々に辞退する麗景殿。何か思惑でも?身分によって許される装束で如何にお洒落な装いをするか、この時代の女性たちの執念は凄いが自分の好みを活かせないのも辛いですね。そして荇子は帝に転がされていく。ホントに食えないw良い上司なのですがどんどん征礼との仲を取り持つ感じになってきました。2023/03/01
kagetrasama-aoi(葵・橘)
30
「掌侍・大江荇子の宮中事件簿」第三巻。弘徽殿女御と麗景殿女御の錦をめぐる争いが、すごーく楽しかったです。襲ね色目は「常用国語便覧」(娘の高校時代の現国の副読本)で確かめながら。今巻、初登場の “竜胆宮” これからの要になりそうな人物ですよね。楽しみ、楽しみ。2023/12/10
りー
28
上手いなぁと思うのは、現代の問題を平安に当てはめてくるところ。今回は乳母に預けられなかった乳児が宮中の局で夜通し泣いて、同僚の女房に顰蹙を買うところからお話が広がっている。予め「ご迷惑をおかけして~○○な事情で~○○までにはなんとかしますので~」っていう断りを入れる・入れないっていうの、現代でも同じだなぁと。帝が一癖も二癖もあるところがとても魅力的。新尚侍もとっても良くて、彼女が女御になれば良いのに!と思っています。2023/01/07