内容説明
定年退職を目指して給料分はまじめに働くことが信条の内裏女房の大江コウ子。だが中宮の不貞と帝の不敬という、いらぬ秘密を知ってしまい、最近は給料外労働が発生しがち。そんな中、亡き先帝の母で帝と血縁のない皇太后が帝への非難を胸に参内し、難題を突きつけてきた。解決策のない要求に宮中は右往左往するが、コウ子は宮中行事を利用したある奇策を思いつく――。こじれた他人の噂はおもしろい。渦中にさえいなければ。帝の寵愛を乞う女たち、秘めた恋、そして…。無関心を装っても、火の粉は向こうからやってくる。四季折々の宮中行事と人間模様が織りなす平安トラブル絵巻、待望のシリーズ第2弾!
目次
1章 招かざる客
2章 神今食
3章 七夕の前の話
4章 乞巧奠
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
44
コウ子も余計なこと知っちゃって苦労するなぁと。でも如子を上司にしたのは大正解だったみたい。2022/09/14
kagetrasama-aoi(葵・橘)
34
「掌侍・大江荇子の宮中事件簿」第二巻。主人公の荇子は父親に対する恨みや憤りのために結婚に否定的。しかも、当時は招婿婚の形態が普通だったから、後見人(父親)がいないのでは、自分で働くしかないよね!って意気込みが伝わってきます。荇子の働く姿が何とも格好良いです。幼馴染の征礼とはどうなるんでしょうか?内府の君(改め典侍)の如子も心構が素晴らしくて。摂関家の姫君でありながら父親の死で零落の後、宮仕えに生きる姿は惚惚します。また、今上の “冷えた銀細工のような天子” の描写に想像が膨らみます。次巻も楽しみです。2023/12/09
よっち
32
中宮と帝を巡るいらぬ秘密を知ってしまい、最近は給料外労働が発生しがちな荇子。そこに亡き先帝の母で帝と血縁のない皇太后が帝への非難を胸に参内し難題を突きつける第二弾。皇太后による解決策のない要求に荇子が見出した宮中行事を利用したある奇策、神今食で参内した帝の亡き妻の従妹・太守の姫宮を巡る騒動、陸奥国の苛政による集団訴訟の真相。なかなか難しい判断が迫られる状況でも冷静な帝のしたたかさが際立っていましたが、彼に信頼される荇子と征礼の距離感の変化も気になるところで、典侍に就任した如子もいい感じに効いていましたね。2022/08/27
りー
27
前シリーズと同じく、宮中行事の詳しい描写が楽しい。この巻では「神今食(かむいまけ)」という行事を中心にお話が進みます。新嘗祭と同じく、神を食でもてなし共寝する行事。3年前の大嘗祭の時に映像で見た生絹の装束が目に浮かびました。真白な衣が火に映えて美しかったなぁ…。帝の中宮が誰になるか、とか、主人公と恋人の関係がどうなるか?とか、もはやどっちでも良くて、平安絵巻をただ楽しみたいのです。作者さんもそのあたりを楽しんで書いてらっしゃる気配がして好きです。2022/08/30
がんも
27
シリーズ第2弾、あや解き草紙のシリーズでもそうだったけど、装束の描写があるのに知識がなさすぎて想像ができないのがもどかしい。平穏に何事もなく職務を全うしたい荇子、しかし相変わらず頭の回転が早く察してしまう彼女を周りが(特に主上)ほっとくわけもなく、事件に首を突っ込むことになってますね、事件を経験して色々な人の心の内の触れて荇子の頑なな心の部分も綻び出してきた感じ、意を結した征礼の言葉で2人の関係も進むのかな、次巻に期待です。2022/08/26