内容説明
油田の開発に各国の石油会社が群がり、利権と欲望が渦巻く町ハンメルフェスト。石油産業のダイバーは危険と背中合わせだが、信じられないくらいの高給が支払われる花形の職業だ。亡くなったサーミ人のトナカイ所有者の幼馴染は、腕利きのダイバーだった。伝統と利権に引き裂かれるサーミの人々。トナカイ所有者、かつて石油会社に関わっていた市長に続き、スウェーデンとアメリカの石油会社の代表者二名が減圧室の事故で悲惨な死を遂げるに至り、クレメットとニーナは一連の出来事のつながりを疑い始める。数多くの賞を受賞したシリーズ第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
66
後半はかなりヘビーだった。ミステリとしての犯人探しや事件より石油開発にかかわる過去が凄まじく圧倒された。ネタばれになりそうなので書かないが、事実なのかフィクションなのか、怖い。ストーリーは現代のトナカイ所有者、トナカイからは離れたサーミ人、石油開発に関わる人達、外部からの旅人、過去の人さがしと、かなり複雑。もう少しスッキリして欲しかった。その中でトナカイ警察の男女バディがつかず離れずでほっとさせてくれる。読みやすい作品ではないと思うが先住民族についてもっと知りたいので次作も希望。2023/02/04
キムチ27
60
状景眺めという上とは趣を違え 、怒涛の様な流れで締めくくられた。熱いサーミへの慕情はしっかと受け取れたが。筆者のメッセはラスト60頁余、1980年代の在り様が見えた。事実のコアを握る伝説のダイバー、ダイバーが悲惨な薬漬け状態である事を解明したDr・どちらも仏人という設定には筆者の意図が見える。ミニマム(警官コンビ~ニーナ、クレメットに纏わる個人的事情とその解明)マキシマム(ノルウェーの国力に係る巨大資本の石油開発、付随するフィンランド移住民の想い)を同時進行させるのは巧みながら」余りにも詰込過ぎな展開2023/07/16
み
23
は〜背景が重かったものの、一気読みの面白さでした。北欧の歴史や民族、知らなすぎます。2023/03/04
TOMIKA306
16
前作から引っ張ってたニーナの両親が登場。今回の事件はトナカイ警察の案件ではないような気もする。北海で開発が始まった頃(1970年代)のダイバーたちは後にPTSDを発症する程の過酷な環境で仕事をしていたらしい。開発の陰で辛い思いをする人々がたくさん描かれている。待ち侘びた春が来たはずなのに、なかなか沈まない太陽が恨めしくも思えるこの矛盾。大企業と地元住人、先住民族と町の住民との軋轢も重苦しい。2024/06/21
ありさと
7
伝統を守る若いトナカイ牧夫の溺死、街に侵入するトナカイを敵視していた市長は崖で転落死、企業の重役たちは減圧室で惨死を遂げる。背景には資源開発で抑圧されるサーミ人と酷使されてきたダイバーたちの歴史があった。前回に増してがっつり社会派な読みごたえ。善良なるトナカイ警察コンビの活躍もますます読んでて楽しい。しかし夏の北極圏なんて絶対行きたくないと思ってしまった。太陽に殺される……。2023/06/20
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