内容説明
“普通”と異なる孤児の児童保護施設や学校を運営する魔法青少年担当省・通称:ディコミーで、ケースワーカーとして働くライナスは、猫のカリオペと静かに暮らす、きちょうめんでまじめな中年男性。 そんな彼が、最高幹部から抜擢されて重大任務を任された。マーシャス島にある児童保護施設の謎めいた施設長アーサーと、個性豊かな6人の子どものようすを1カ月間観察し、施設が存続に値するかどうかを調べるという任務だ。 危険で重要な指令に戸惑いながら、しぶしぶマーシャス島へ行ったライナス。それは、かけがえのない出会いがもたらした大きな転機のはじまりだった── ライナスの成長を描く心温まる現代ファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
penguin-blue
39
魔法青少年担当省でケースワーカーとして働くライナスはまじめ一方で、音楽と猫がささやかな楽しみ。単調で変わらない暮らしの中、急に降ってきた秘密任務の派遣先は海と自然に囲まれた島の不思議な子供たちばかりを集めた施設だった。上巻前半は黙々と仕事をこなし、同僚や隣人、飼い猫にさえ気を遣いながら暮らすライナスのいわば色のない暮しを描く。満足しているつもりだった日常に引きかえ、島ではとにかく奇天烈すぎる調査対象に戸惑うばかり。それでも生来のまじめさで向き合った結果、少しずつ生活が今までと違う色合いを帯びてくる。2023/09/29
かもめ通信
25
タイトルや装丁から、人生に疲れた大人が癒やされるような、ファンタジーだと思いこんでいたから、主人公のライナスが40歳の男性だと知っても、さほど驚きはしなかった。上巻前半はところどころにファンタジーネタを仕込みながらも、なかなか味わいと読み応えのあるお仕事小説といった雰囲気だったが、ライナスが島に着いた途端に、一気にファンタジー熱が上昇し、もう息が苦しくなるぐらい。まずいよこれ、面白すぎる!!頁をめくる手が止められずに、このまま下巻へとひた走る!! 2023/01/13
あゆみらい
21
これきっと将来映画化されるだろう。表紙買いでしたが。ハリー・ポッター的なファンタジー。児童養護施設の話かと思っていたら、みんな特殊能力持ちでした。パラレルワールド。でも現実的。2024/05/07
harutamano
17
ああ、これは。ページを開いて良き本だなと。息のつまるディコミーから、ライナスと共に不安を抱えながらいざ島へ。セルリアンブルーの海が見えたときファー!ってなりました。子どもたち〜!!下巻へ2023/01/02
くろき
15
YA小説としてかなり好きです。設定もすごくわかりやすくて話がのりやすいし、展開も複雑じゃない。大きな魅力は、多様なキャラクターたちだとおもう。普通の中年男性の主人公が、規則にがんじがらめになりながら忙殺されて日々を過ごす中で、個性豊かな子供たちに出会って… 子供たちのキャラが輝くにつれて、振り回されながらも仕事をまっとうする主人公も魅力的になって、上巻読後には下巻をすぐ読んだ。 魔法が使える子の保護が設定の大枠だけど、バトルとかは無くて、個性の尊重だとか自分の常識を超えた違いへの向き合い方の話。2023/03/27