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内容説明
時代の波にさらわれて愛する人が一人また一人と去ってゆく。
めぐる季節を見送りながらたまをが最後に見た風景は――
1866年(慶応二年)、長崎・丸山遊郭の「たまを」は姉女郎・咲ノ介付の禿(かむろ)として出島のオランダ商人・ハルトマン邸に入る。
遣り手のタキとともに労働に勤しみ、異国の文化と四季折々の風物に彩られた日々を送るたまを。
しかし時は慶応から明治への過渡期。大政奉還、龍馬暗殺、そして戊辰戦争へ……時代の激動は遠く長崎にも飛び火する。
出島を後にし引込新造に格上げされた彼女を待っていたのは、愛する人々との離別と無垢な季節の終焉で――
第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」受賞・高浜寛最新作にして最高傑作。
ラストシーンのカラーページを完全収録した感動のフィナーレ!
目次
第25話 夏至
第26話 夏の蓮
第27話 陽炎
第28話 立秋
第29話 白露
第30話 長い夜
第31話 出立
第32話 明治元年10月
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たけはる
7
少女から女性へ変わってゆくたま。しかしその成長は喜ばしいものではなく、そうならざるをえない哀しさを秘めてのもの。ヴィクトールに唄で別れを告げる場面がなんとも痛ましく切なかった。この続編ともいうべき『ニュクスの角灯』はまだ全部読めていないので、集めていきたいと思います。2022/09/26
Susumu Kobayashi
3
様々な人生が描かれているけど、たまをとヴィクトールの悲恋が太い筋をなしている。余韻のある終わり方だが、後の展開も気になるなあ。2024/01/03
チョビ
3
島田の祖先の物語が始まる予感にドキドキ。お滝の終幕が一番辛いな。ヴィクトール、その男はアカン!と、高浜作品を読み続けると、色々辛い。ただたまの空白の3年はどうだったんだろう。新しい政府のシステムは、よき古い時代のシステムを排除していくその姿にすら失望していく、今の我々の代弁者に思える(個性的な笑顔も失われていくのも含めて。それはヴィクトールの好きなたまじゃないしね)。それでも著者のコラム、本編で使われたコマに別セリフをいれることで、シリアスな場面がとたんに笑いに変わる。漫画のシステムの凄さを感じる。2022/10/15
hryk
3
物足りないという気もするし、これでおしまいでよいのだという気もする。2022/09/10
アルハ
2
苦楽を共にし限られた世界を共に生き抜こうと誓った友の夭折、異人を本気で愛してしまい地獄の苦しみを得た姉女郎の失踪。自分を守ってくれていた人達の喪失により、否応がにでも己が女であり、搾取される身分である事を思い知らされるたまを。幼く非力ながら自らを一途に愛したヴィクトールの告白をあえて断り、彼女の少女時代は江戸の世と共に終焉する。 その証拠に最後、ヴィクトールに贈った唄を口ずさむ彼女の寂しげな横顔にはもう子供の顔は残されていない。2022/08/29