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内容説明
たまを 十四歳。廓に生まれた少女が残した季節の記憶。
慶応二(1866)年、日本の花鳥風月と異国の文化が交錯する長崎・出島――
早逝する宿命を背負い、美しくも残酷な季節を生きたある少女の物語。
第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」受賞!! 高浜寛最新作
『ニュクスの角灯』『蝶のみちゆき』に連なる「長崎三部作」最終節
(あらすじ)
長崎・丸山遊郭の「たまを」は姉女郎・咲ノ介の禿(かむろ)として出島のオランダ商人邸に入る。炊事、洗濯、お使い……日々の労働に四季折々の風物を見つけ、医師のトーンやコックの岩次、フランス人貿易商の息子・ヴィクトール、混血児の小浦百年など個性豊かな人々との出会いに「廓の外」を垣間みる。
「お前は大人にならんでええ…」かつての姉女郎・几帳の言葉の意味を測りかねたまま、たまをはいつか来る「その時」を静かに待つ――
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チョビ
4
遊廓生まれの禿たまを(通称たま)の日常を季節ごとに章立てしたマンガ。ニュクスのおたまの10数年前ってところ。実在の人物で、彼女に恋をするヴィクトールも既に登場。またニュクスで小見出しに出されていた各登場人物の素性や心の機微も出ていてもう、楽しい!個人的には山口のおじさんの若い頃が涼し気ないい男で大興奮!ニュクスでは頭のいいウィットにとんだ彼女もこの当時はあまりうだつが上がらない訳だが、美世の扱いを見ていると、当時の自分を重ねているのだろうか?大浦慶、セクシー!2020/11/21
アルハ
2
姉女郎に付き従い、生まれ育った丸山遊廓から暫くの間出島で唐人屋敷の小間使いとして従事するたまを。廓で生まれたが故に逃れようもない宿命を、14歳の彼女は無意識的に拒むかの如く幼い容姿を保ち、少し抜けた性格故に「頭が弱い子」というレッテルを貼られている事を哀しく思いつつも静かに受け入れ日々働く。そんな彼女の穏やかな日常の影に忍び寄る時代の奔流と、家庭に居場所がないヴィクトールが寄せる幼く淡い想い。 綿密な考証と繊細な描写に裏打ちされた佳作。2022/02/07
kujira
2
続きものっぽいけどこれ一冊でも読めはした。すんごい調べて描いてるんだろうなあ……とわかる情報量と、薄く漂う破滅のような匂い。雰囲気のある作家さんやねえ。2020/12/19
hryk
2
まさかまた彼ら・彼女らに会えるとは思わなかったので素直に嬉しい。島田と岩次の交流がとてもよい。2020/10/25
pugyu
1
『蝶のみちゆき』でも出てきた禿のたまを。ちょっと風変わりな少女がまっすぐな目で出島の異人さんや周りの人たちと接する。好奇心旺盛で疑うことを知らない。危うい無邪気さがかわいい。2021/01/14