内容説明
嫁ぐ日を間近に控えて失踪し、無惨な死体となって発見された二人の若い女性。会社勤めの真佐子は阿蘇山の噴火口に身を投げ、看護師の鶴子は金沢の内灘海岸で銃弾を受けて死んでいた。幸福の頂点にあった二人を襲った悲劇の裏には一体何が? そして多摩の山中で三人目の犠牲者が! 幾重にも錯綜する謎を解き明かし、難攻不落のアリバイに挑む鬼貫警部と丹那刑事!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぬぬよよ
9
綿密なアリバイトリック。鬼貫警部の出番少なめでした。ザ昭和な会話や描写で、現代では違和感あるだろうなあと思いながら読み進めました2023/07/14
コチ吉
9
原型となった中編も収められているので、どう構想を膨らませて長編にしたのかが分かり、興味深い。鮎川氏のアリバイものとして十分に読み応えがあった。ただ、射殺事件において犯行が行われたと目される時刻と、実際に行われた時刻に2時間以上の開きがあるのは不自然な筈だ。2022/09/15
室田 尚子
2
初・鮎川哲也作品。全然別のものに見えた事件が繋がっていく、その謎解きの中心に時刻表トリックがある。西村京太郎よりずっと前にこういう作品があったのを初めて知った。昭和の風景や言葉遣いが(今日のコンプラ的には許されないものもあるが)歴史を見るようで面白い。硬質な文章も好みなので「鬼貫警部事件簿」シリーズ、追いかけてみようと思う。2025/08/12
はんく
2
鮎川哲也のアリバイトリックミステリの代表作の1つだが個人的に時刻表を使ったトリックが苦手なのと解説にも僅かに触れられているが共犯者の存在及び解決に至る過程に偶然のヒントが作者の妥協のような気がして佳作という評価が妥当に思える。元になった短編が収録されていて作者の長編化の手法がわかりやすい。結末が急ぎ足な短編を細かな情景描写や新たに付け加えられたトリックと新たな人物の巧みな組み込み等々、堂々たる長編に仕上げて見せている。読んでいる最中は複雑さに四苦八苦するが読了するとまた読んでみたいと思わせるのが特徴か。2024/05/28
岩田貴雄
0
電報の時代である。初期捜査が、杜撰じゃねえと思いつつ、時刻表トリックが解かれていく。ちょっと凶器の謎は、気が付くのが難しい。中編だと美知子さん大活躍。2023/07/03