内容説明
井の頭公園に隣接する植物園で、音響機器のエンジニアとバレリーナの惨殺死体が発見された。まったく接点の見えない二人の被害者だったが、岡山、愛知、信州を旅した丹那刑事の地道な捜査から、ある男が容疑者として浮かんできた。だが、彼には一分の隙もない鉄壁のアリバイがあった……。巧緻に組み立てられた犯罪を名探偵・鬼貫警部が丹念に崩していく傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りょう
6
この方の著作は多分初めて読みます。トリックをいかに見破るかと言う形の推理小説になっていて、読みやすいけど言葉遣いとかを含めて、少し古いタイプのものだなあ、と思う。もっと、止むに止まれぬ心理的なものを描くタイプの方が、納得できる気がする。2023/03/20
ナオ
5
よかった!!帯の巨匠没後20年に 20年前には生きてたんだと驚く。 鮎川哲也といえば伝説とゆーか歴史上の人物に思えるから。小説の中でも軍隊上がりとか普通に出てくるし。けれど古さは感じません。二転三転する推理の妙。堪能しました。 後二編の短編が表題作の元になったもので、これは絶対に先に読んではいけないものだと思いました。仕掛け分かってしまうしね。でも、本編と元ネタを一緒に読める事はなかなか無いので得した気分。満足の一冊でした。2022/02/26
都人
4
この本には「、「時計塔」・「城と塔」と「風の証言」の三作品が収められており、冒頭に著者から「風の証言」以外の二作品は、本編「風の証言」の元になった作品です。トリックや構成等が類似していますので、必ず本編からお読みください。との注意書きがある。久しぶりに「鬼貫」警部物を読むが、こういうこの本の構成を含めて、欠点の多い作品と言える。2025/12/14
風鈴
3
風の証言とこの長編の原型の時計塔、城と塔の二編が読めます。アレンジの違いが比べられ、お得な1冊。鮎川哲也さんってタイトルの付け方が情緒あって、良いですね。まさに象徴ですし。2022/03/09
岩田貴雄
2
1つ1つの可能性を、丁寧に消して捜査していく話である。鬼貫刑事らの推理の過程も丁寧に描かれている。表題が伏線であり、そうだかと納得出来る。鬼貫や丹那の愚痴も、クスリとさせられる(まあ、ちょっと、現在だと問題にはなりそうだが)時代なのか、独身って言うだけで、やたらと揶揄されてしまう展開には、そんな時代に、成人じゃなくてよかったと思えてしまう。いやホント。ところで、作中で、登場人物(真犯人ではない)にトリックを提供した作家って誰だったのだろうか?。2023/06/26
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