内容説明
人生そのものが
博打なんだよ
転がる賽に金は生えぬ
罪深き人
欲求は満たされる事を知らない
――――柳亭左龍
てめえらは、何度俺から奪えばそれで気が済むんだ。
軽井沢の有名旅籠の次男として育った理吉。裕福な環境で恵まれた生活を送っていたものの、なぜか家族との距離を感じ、心はいつも満たされずにいた。そうした心の飢えを埋めるかのように兄・新吉のものをくすねては、新吉と喧嘩になる毎日。やがて新吉は侠の世界に飛び出すが、理吉は家業の手伝いをするのみ。旅籠の下働きの定丸に誘われるままに、博打を覚えたがために家を追われ、西海屋に流れ着く。番頭の慶蔵のもとで頭角を現すが……業と欲に呑まれ、因縁に絡み取られていく――
因果と侠の中で揺れ、流転と転落の男の物語――小説 古典落語シリーズ第4弾!
松浦シオリ・装画
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
82
最初に解説を読んでちょっと不安になるも読み始めると全くの杞憂に終わった。サクサク読める分かり易い物語に没頭するほど面白い。物語は、軽井沢の旅籠で育った理吉が裕福な環境に満足を覚えず、常に心に鬱屈を抱えてないものねだりの人生を送る。理吉の出自が判って家を追い出されてから彼と出会うことになる男たちに憧れを持ち、あの人になりたい一心で悪行に手を染め、女を寝取り、坂道を転げ落ちていく。自分の境遇に満足できない理吉が他人の域に踏み込むがいつの間にか欲と因縁に絡み取られていた。この因縁の繋がりがとにかく面白い。2021/03/24
Nazolove
20
このシリーズにしてはなかなかのドロドロ感が半端じゃなかった。 しかものっけからこの主人公の半端ない修羅場ぶりがすごすぎたけど読む手を抑えきれず読了した。 やっぱり悪いことしたら最初から最後まで悪いまんまになってしまうので悪いことはしてはいけないんだな、と改めて実感した。 この登場人物の言ってある発言、これはやっぱり人生における教訓じゃないかな、なんて思った。 なかなか難しい内容だけど古典落語か講談でやってるのをいつか見てみたいななんて思った。(怖いもの見たさで見に行きたくなるんじゃないかなと思った。)2021/10/10
豆あひる
9
家族からは常に余りもの。心の穴を埋めようと他人の物を奪うも手に入ってしまえばまた穴が開く。どうしたら幸せにたどり着けるんだろう。今回のも面白かった。シリーズはあと一つ。2021/05/30
tama-nyan
2
境遇やらで悪事を働く理由にするなんて絶対許さない。そんな奴はどんな境遇だろうと拗れてるんだろうよ。2023/05/08
い-さん
1
昭和57年立風書房発行の「名人名演落語全集」第1巻明治篇Ⅰに、初代談洲楼燕枝「西海屋騒動」が収録されていて、面白く読んだ。残念ながら、収録されていたのは前半のみでまだ西海屋も登場していなかった。続きがどうなるのか、読みたいと思っていた。この度、小説としてわかりやすく読むことができ、よかった。ぜひ、燕枝の代表作「島衛沖白浪(大阪屋花鳥)」も小説化してほしい。2022/04/07
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