小説 真景累ヶ淵

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小説 真景累ヶ淵

  • 著者名:奥山景布子/古今亭菊之丞
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 二見書房(2022/05発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784576201511

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内容説明

執念いヤツらめ
一人の人間が堕ちてゆく 死出の旅

圓朝の大作を濃厚に煮つめ、小説へと昇華した作品である/古今亭菊之丞

――この後女房を持てば 七人まではきっととり殺すからそう思え。
父を旗本に殺されたまま解決もできず、妹も奉公先で惨殺されてしまったお志賀。それから十七年、音曲の師匠豊志賀として生きてきた。稽古はにぎわっていたが、子ほども歳の離れた新吉と男女の仲になり、あまりの入れ揚げぶりに弟子たちも次第に離れていってしまう。そんな中でも通い続けていたお久に嫉妬したためか、顔に腫物ができてしまう。悪化する腫物とともに憎悪ももつのらせ、ついには呪詛の言葉を遺して死んでしまう。新吉は恐れおののきながらお久と下総に駆け落ちをするのだが――

松浦シオリ・装画

名作落語にあらたな命を吹き込む、シリーズ第一弾!
古典落語の大名跡・三遊亭圓朝が創作した代表的作品のひとつ『真景累ヶ淵』を、時代小説の名手奥山景布子が小説化。人間の業の深さ、血縁と因縁が複雑に絡み合った愛憎劇を、時代小説として再編。人物関係図、解題を付す。本作には古今亭菊之丞が監修を行う。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

134
巡り巡っての一冊。小説版「真景累ヶ淵」読みやすいのはもちろんじっくり時間をかけて味わえ面白かった。これはなんとも混み入った、重なり縺れあった輪廻応報、因果応報。七人までもとり殺す…遺された言葉、これは果たして有言実行なのか…恐怖と興味は尽きない。巡り巡って絡み合う縁、決して忘れはさせない執念が哀しみを交えながらじっとりと伝わってくる。人が人を好きになる瞬間はあれど、人が鬼になる瞬間もまたあることをしみじみ感じた。読後、巡り巡るかのような相関図を改めて見ると必然的な出会いや縁にしか思えずさらにゾッとくる。2020/10/31

buchipanda3

114
圓朝の創作落語「真景累ヶ淵」を元にした時代小説。奥山さんは圓朝の生涯を描いた小説も手掛けていて、その組み合わせの妙もあって読んでみた。顔が酷く腫れてしまった女の恨みに取り憑かれた男の愛憎劇。読み進めるとどんどん人間関係が複雑に。この人はあの人の息子だったなど血縁と因縁がぐるぐると巡る。これが本作の肝となり、人間の業の深さが因縁に因縁を生み続けてしまうことに呆然と。そして嫉妬や呪いなど思い込みに容易に囚われてしまう人間の心の弱さも見せつけられた。そこが一番の怖さ。これは落語だとどんな感じなのか聴いてみたい。2020/10/24

タイ子

96
噺家三遊亭円朝の創作噺を奥山さん流に小説化。以前、桂歌丸さんが演じていたので俗にいう三大怪談話のような噺かと思いきや、仇討ちという続きがあったことを初めてしりました。何せ、この噺は代々続く怨念噺なので誰が誰だったのか系図を見ながらの読書でした。好きな女性が顔に出来物ができて化け物顔になり男は殺してしまう。怪談噺のあるあるストーリー。「この後女房を持てば七人まではきっととり殺すからそう思え」この言葉が男を縛る。男の身勝手な欲望が次々女を手に掛ける。堕ちて行く男の末路は…。いやぁ、女の執念は怖い。けど面白い!2020/10/10

藤月はな(灯れ松明の火)

90
全てを失っても愛した男の不実を悟った時、女は呪った。「お前さんが惚れた女は七人までも祟り殺す」と。でも呪いの根源は、女の父親の死から始まっていたのだ。捨てた筈の因果と血縁が蛇のように絡みつき、無関係だったはずの人々からも奪い合い、咲かせた血花の救われなさ。余りの人間関係のややこしさに花車さん同様、「覚えきれない!」と言いたくなるが、最後に相関図もあるのでご安心を。解説によると、因果の始まりであった豊志賀の父、宗悦が惨殺される下り、因果の終わりである惣吉の仇討なども入れて随分、長かったそうな。2020/11/15

NAO

79
【日本の夏は怪談 和】【月イチテーマ 時代物】『真景累ヶ淵』は、落語中興の祖といわれる三遊亭圓朝が最初に創作した咄。圓朝は芝居咄で人気を博していた。そのうち、彼の人気を妬んだ師匠の二代目圓生が、前の高座で圓朝がやる予定の咄を素咄でやってしまうという事態が続くようになり、二代目圓生が歌舞伎や浄瑠璃で演じられている「累物」を踏まえて創作した「累草子」の後日譚という位置づけの新作「累ヶ淵後日の怪談」を創作したという。血の繋がりが何ともややこしい、悪縁・因縁の話。2021/07/06

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