創元推理文庫 王女に捧ぐ身辺調査

著者名：アリスン・モントクレア【著】/山田久美子【訳】

東京創元社（2021/11発売）

• ISBN：9784488134105

内容説明

わたしたちが王子の身辺調査をするの！？――戦後ロンドンで結婚相談所を営むアイリスとグウェンに、英国王妃に仕えるグウェンのいとこから驚愕の依頼が持ちこまれる。エリザベス王女が想いを寄せるギリシャのフィリップ王子について、その母親のスキャンダルをほのめかす脅迫状が届いたのだという。英国王室の危機を救うため、ふたりは極秘で、王子の家族と脅迫者を調べることに。元情報部員でスパイ活動のスキルを持つアイリスと、人の内面を見抜く優れた目と貴族社会での人脈を持つグウェン。対照的な女性コンビの活躍を描くシリーズ第2弾！／解説＝大矢博子

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[stobe1904]

【ロンドン謎解き結婚相談所シリーズ第2弾】前回の事件解決で知名度が上がった結婚相談所の共同経営者のグウェンとアイリスの元に王室のスキャンダルとなるような相談が持ち込まれ、グウェンとアイリスが奔走するが…。相変わらずテンポのよい2人の掛け合いは抜群に面白いし、ミステリとしての謎解きもしっかり楽しめる。前作以上にパワーアップした内容にとても満足。3作目も出版されているので、読める日が待ち遠しい。★★★★☆

2022/05/31

[Panzer Leader]

終戦後のロンドンを舞台にした結婚相談所シリーズ第２弾。今回は英国王室を巡るスキャンダルの調査と事件もスケールアップ。其々に戦争中のトラウマを抱えていながらもおくびにも出さず、得意分野で二人は大活躍。ミステリーとしては弱いが、本書はそんなことより二人の生き生きとした会話を楽しむのが本筋。あー楽しかったと幸せな気分で本を閉じられた。

2022/03/21

[オーウェン]

2作目はエリザベス王女と婚約する予定の、フィリップ王子の母親のスキャンダルをほのめかす脅迫状の行方について捜査。1作目は男への物色が笑わせたコンビだが、今作はやたら金に執着あるキャラになっている。ただし1作目よりもあまり好感が持てない感じに。事件にしても現実問題であり、エリザベス王女がフィリップ殿下と婚約することは分かっているので、そのたらればの過程をどう捉えるか。最後に全員集めて推理を披露する古典的なやり取りだったり、意外とアーチ―のキャラが面白かったりと良い要素もあるので、3作目もまた楽しめるかも。

2022/05/03

[星落秋風五丈原]

前作で義母と少し歩み寄れたグウェンと、スパイの世界に戻って来いと元上司・准将から誘いを受けながら普通の世界に踏みとどまっているアイリスの、会話文を中心としたテンポの良い物語が展開される。ドラマ「ザ・クラウン」でも出自が取り沙汰されたエディンバラ公爵フィリップ王配の、今回も問題になるのは出自。ドラマでも「いいのかこんなことまで書いて」と驚いたものだがこちらも驚きの設定を持ってきた。しかし最後に登場するあの人が全てを持っていく。素直で明るく聡明な未来の女王は、やはり双葉より芳しかったのだ。

2021/12/20

[ナミのママ]

戦後のロンドンで結婚相談所を営む女性2人が主人公のシリーズ2作目。今作は結婚相談とは少し離れた話題。エリザベス王女と交際中のフィリップ王子、そのスキャンダルについて脅迫状が届いたという設定。王室に近いいとこから内密に持ち込まれた調査だ。1作目では時代背景が気にならなかったが今回はイギリス王室についてある程度の知識がないと読みにくいかもしれない。王女と王子とは現エリザベス2世とフィリップ殿下でありどこからがフィクションなのか謎深い。それが魅力なのだろうが歴史を知らないとその部分を楽しめないかもしれない。

2021/11/18