内容説明
地図帳の老舗・帝国書院と地図研究家・今尾恵介氏がタッグを組んだ『地図帳の深読み』
待望の第2弾!
今回のテーマは、ズバリ「昔の地図帳」。
100年以上の歴史を持つ帝国書院の書庫に眠る大正や戦前戦後の地図帳を、今回も今尾氏ならではの軽妙洒脱な筆致で「深読み」します!
日本一高い山、日本の東西南北端、地名、国名、国旗、国境など…現代の地図と読み比べると、あらゆる部分が変わっていることに気づかされます。
各時代の地図帳を「深読み」すると、地図帳が作られた当時の社会情勢、時代背景がまざまざと浮かび上がってきて、歴史好きな方にも読み応えがある一冊に仕上がりました。
皆さんが学生時代に使っていた頃の地図帳も登場するかもしれません。
家の奥に眠るあの地図帳、今もう一度繙いてみませんか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
116
帝国書院×今尾恵介氏による学校地図帳深読み第二弾。帝国書院が最初に地図帳を世に出してから101年。「昔の地図帳」と「最近の地図帳」を読み比べると、この1世紀の間に日本と世界が辿ってきた激動を感じずにはいられない。昭和9年(1934)発行の地図帳には当時、日本領となっていた台湾、南樺太、朝鮮の詳細な地図が載っており、「大日本帝国」の興隆とともに、彼の地の人々の、その後の厳しい運命を思わぬわけにはいかない。著者も「思えば日本という国は、ある時期にずいぶんと頻繁に戦争をしてきたものである」と嘆息している。2021/09/08
パトラッシュ
113
戦前の地図は歴史本に多少載っていたが、まとめてみると当時の政治や外交、世相などが今日以上に強く反映しているのがわかる。パナマ運河の詳細や軍管区・植民地図、朝鮮北部の産業地図に占領中の小笠原などがない地図などは社会が必要としたからこそ掲載されていたのだ。ほとんどなくなった産業記号や、政治情勢の変化で消滅した地名などは歴史の敗者が残した爪痕のようだ。戦前の日本の東西南北端や国内の二つの標準時を示す図は、大日本帝国の現状を国民に教える政策だった。地図帳が政治と深く結びつき、その意志に左右され続けた事情を教える。2021/10/02
KAZOO
103
前作は現在の地図帳から様々な地図の見方を教えてくれましたが、今回は出版社の協力のもと地図帳の100年の歴史を示してくれました。とくに軍事的な観点でのものが多く地図が非常に重要であったということがよくわかります。また産業などからの観点なども示されており参考になりました。2021/09/08
六点
35
本邦における「地図読みの大家」である、今尾恵介氏の学校地図帳エッセイ第2弾である。前著では現在の地図帳をが中心であったが、今回は、過去の地図帳を読み解いている。地図の読解もさることながら、驚かされるのは、引用される地図が極めて美麗であることである。しかも、編集から製版、印刷まで全て手作業である。まさに、職人技の結晶である。今尾氏もコラムや本文で何度もそれを称賛している。まさにあらゆる面で。激動の世紀であった20世紀を学校地図帳は、雄弁に物語っている。帝国書院の凄さを思い知るシリーズであった。2021/09/03
Nobuko Hashimoto
29
一冊目と同時購入。最新の地図帳だけでなく、古いもの、海外のものもたくさん所有し、長く地図を研究されてきた方が編んでいるので、幅広い事項が取り上げられていて、とても面白い。こちらは「変遷」に重点を置いている。私の関心対象である旧ソ連や東欧、ドイツもちょこちょこ取り上げられているのでありがたい。授業のネタにさせてもらおう。日本の帝国主義時代に関する事項や、国内の産業構造の変化を扱った項目もたいへん面白かった。月イチ書評で取り上げる予定。2021/11/29