内容説明
「戦後レジームからの脱却」が腰砕けになっている間に,世界では脱9.11を見据えたユーラシア・ダイナミズムの新たな潮流が始まっている.新たな船出の時を迎えるいま,政界からも財界からも,発言の確かさで最も注目を集める著者が,日本の立ち位置を確認し,航海のヒントを送る.『世界』に連載中の好評エッセイ第2弾!
目次
はじめに 時代に並走するということ┴1 脱九・一一の世界への視界 時代の空気に向き合う┴脱九・一一の時代に向けて┴ベルサイユ講和会議が今日に示唆するもの┴一 集団的自衛権の陥穽┴二 時代の空気の作られ方┴三 吉野作造という存在┴二一世紀外交の創造的選択┴2 現代資本主義の死角┴驕る資本主義の陥穽 M・ウェーバーの予言┴あらためて渋沢栄一を思う 日本の資本主義を考える視点┴石油価格高騰の怪 エネルギー市場のカジノ化┴健全な産業構造・産業観の再生を┴『二〇〇一年宇宙の旅』とIT革命┴3 ユーラシアの新潮流┴欧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
21
2004年初出。イラクは米国によって厳しいのは変わらない。イラク戦争を通じて米国が失ったものは、指導国としての理念的正当性(9頁)。米国をアジアから孤立させず、中国を国際社会のルールに参画させ、日本も国際法理、国際協調に生きる(2006年初出、16頁)。集団的自衛権は同盟責任下で拡大解釈、意図せざる紛争に巻き込まれる危険を招来する(07年、23頁)。イラク戦争で世界は力の論理では問題解決せず、アメリカも間違うということ(同年、55頁)。人徳者、渋沢栄一。 2014/08/09
おとやん
2
6章より構成。歴史の中から世界を見、自分の立ち位置を考えること。おわりに空海を引き合いに大きく視界をとって、深く吸い込み、様々な事象相関の中で思索し、問題の本質を見抜いて収斂される「全体知」が求められている。日本に欠けているのはこの「全体知」ではないかというところが印象に残った。2010/12/20
メタボン
1
☆☆☆ 骨太の論説。閉塞感漂う現代で日本がどう立ち居振る舞うべきか説いている。日本とアメリカの関係について見つめなおすきっかけとなる書。2013/03/28