内容説明
日本人の「脳力」は劣化していないか?「イラク戦争」に狂奔する時代だからこそ,事象の変転に幻惑されず本質を見抜き,新しい時代を切りひらくまっとうな力が試されている.そのためのヒントがぎっしりつまった時評エッセイ.東西の世界情勢から古今の歴史・文化まで,豊富な話題を通して見えてくる日本の自画像.
目次
はじめに┴1 「イラク戦争」を直視する┴見えてきた米国新外交ドクトリン その危険性に日本は耐えうるのか┴「九・一一」から一年を再考する┴「不必要な戦争」を拒否する勇気と構想 イラク攻撃に向かう「時代の空気」の中で┴戦争に向かうワシントンで考えたこと┴いわゆる「奴顔」からの脱皮について バグダッド陥落考┴見えてきたアメリカニズムの終焉┴二〇〇三年夏と脅威としてのアメリカ┴「不思議の国のアリス」からの旅立ち┴二一世紀日本外交の構想力 「イラク戦争」を超えて┴ブッシュ単独覇権主義の破綻と日本 イラク後の世界にど
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
87
岩波書店の「世界」に掲載された2000年代前半の世界情勢に対する論考で、9.11やその後のイラク戦争がメインになってます。当時の日本の立場や国家の考え方から、今に通ずるメッセージが鮮やかに記されており、著者の慧眼に驚くばかりです。「歴史を見失う時、人間は際限なく傲慢になる。」至言だと思います。2025/01/31
壱萬参仟縁
19
2004年初出。米国経済不安の一方で、極端な軍事力への過信ともいうべき心理が国内に生まれつつある(33頁)。日米同盟ばかりいえば、日本のスタグフレーションもまた、集団的自衛権などで戦禍に巻き込まれるリスクが常にある時代。固定観念から脱し、新しい外交の選択肢を構想することが今世紀日本の課題(38頁)。同感で、TPP交渉の醜悪な結末だけは見たくないと思うが。イラク戦争は不必要で、大義は崩れ去った(89頁)。なのに日本は特措法で違憲行為をやってのけた罪は重いと思う。 2014/11/08
メタボン
3
☆☆☆ 武力をもって紛争解決手段としないという憲法理念を何度も何度も唱える筆者は現代日本になくてはならぬ識者であると認識した。かなり時間を経た著作ではあるが、色褪せない主張と感じられた。現代史への関心を強く持たねばと改めて思った。2013/02/11
おとやん
2
「脳力」とは「物事の本質を考え抜く力」9.11以降、米は力と正義の論理によって前のめりに突っ走っていた。日本は思考停止のまま、気がつけば10年経ってしまった。「脳力」を取り戻すためには「歴史軸」で自分の位置づけを確認すること。過去の先人達が格闘したテーマや事実から謙虚になり自分が意味のある存在であることに気づく。さらに「空間軸」で思索すること。世界で繰り広げられる不幸や不条理を知ることで自分が恵まれ、満ちていることで思考の重心が下がる。客観的に物事を捉え問題の抽出と解決に立ち向かおう。 2011/07/20
キャッツアイ
1
自己の都合のみで他国に訴えかけようとする深みのない日本政府の戦略と、国民の受けしか考えていないマスコミでは、アメリカ、ロシア、中国に対等に伍していくことは永遠に不可能でしょう。寺島氏の活動が広く普及していくことを願っています。2014/05/07
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