内容説明
退役した海軍司令官、ホーカン・フォン=エンケは、自宅であるストックホルムのアパートメントから散歩にでかけ、そのまま戻らなかった。ヴァランダーは娘リンダのため、そして初孫クラーラのために、ホーカン失踪の謎を調べ始める。海軍時代の経歴になんらかの秘密が隠されているのか? 海軍時代のホーカンの知り合いに話を聞くが、彼の行方は杳として知れない。そんな中、今度は妻のルイースまでもが姿を消してしまったのだ。ときおり襲う奇妙な記憶の欠落に悩まされながら、ヴァランダーは捜査を進めるが……。刑事ヴァランダー最後の事件。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のぶ
103
読み終わってしまった。自分のヘニング・マンケルとの出会いは「殺人者の顔」だった。シリーズの最初の作品だったと思うが、とても面白く、クルト・ヴァランダーというキャラクターに魅せられ、その後彼の小説はすべて読んだはず。その後北欧ミステリーは多く出版されたが、トップのレベルを最後までキープしていた気がする。マンケルが死去して5年。その後、新刊を追いかけてきたことになる。本作がシリーズのベストだとは思わないが、完結との事で、特別の感慨がある。まだ1冊、未訳の本が残っているようで、もう一度楽しませてもらいたい。2020/09/30
ふう
97
(上巻の感想に続いて) 事件は冷戦時代のソ連や東ドイツに始まるスパイに関するもの。前に読んだ『湖の男』を思い出してしまいました。「ラトヴィア人一人ひとりの後ろにロシア人がいる。ロシア人の後ろにはアメリカ人がいる。」誰にも気づかれないところで暗躍し、誰にも気づかれないように葬られる人がいる、そのことさえ闇に封印されていく…。この作品は終わっても、そしてヘニング・マンケルはいなくなっても、そんな怖ろしいミステリーは現実の世界でずっと続いていくのでしょうね。2020/10/12
キムチ
76
御疲れ様!ヴァランダー・・「残された時間は」自分とクラーラの中で生きて行くのだ との述懐。涙腺を刺激する。進行するアルツハイマ―の脳内が終始通奏低音。加えて心筋梗塞?の場面もあり、気を抜けぬ。と言いつつもラスト辺りで 「女を買う」ヴァランダー。味気ない 思い出しても恥ずかしいsexとはね。作中、モナとバイパの2人の間で自らの心を秤にかける呟きがある・・そして父親との関係のそれも。 真実は見えている外観と全て違っていると。何度も繰り返される呟きも併せ マンケルがヴァランダーに憑依しての想いだろうか。2020/09/30
巨峰
73
ああ、終わってしまった。ヴァランダーとスウェーデンの過去をふりかえるような作品でもあります。優れたミステリーはその国の社会・政治の状況から遊離できないものですね。人生の深さ、生と死の問題を感じさせてくれるミステリーシリーズは、そんなにはないかも。シリーズ1作目を読んだときここまで来るとは思わなかったです。2021/04/15
タツ フカガワ
72
老境に入ったと自覚するせいか、自分の人生を振り返りながら、これまで手がけた事件を回顧すること度々のヴァランダーである。なかでもラトビア・リガに住む元恋人バイバとの10年ぶりの再会と永遠の別れは印象的だった。一方リンダの義母ルイースの自殺に見せかけた殺人事件も意外な展開に……と、相変わらず読ませる最終巻でした。クセの強いキャラでしたが、それにしてもエピローグ最後の5行がなんとも寂しい。2023/10/04
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