内容説明
1913年オーストラリアの港、ロンドンからの船が着き、乗客たちが去った後、小さなトランクとともに名前すら語らぬ身元不明の少女が取り残されていた。少女はオーストラリア人夫婦に引き取られ、ネルと名付けられ、21歳の誕生日の晩に、その事実を告げられた。時は移り、2005年、オーストラリア、ブリスベンで年老いたネルを看取った孫娘カサンドラは、祖母が自分にイギリス、コーンウォールのコテージを遺してくれたのを知る。なぜ? ネルとはいったい誰だったのか? 茨の迷路の先に封印された花園があるそのコテージは何を語るのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
367
★★★★★ デビュー作『リヴァトン館』と同じく、過去の事件の真実を紐解く話。前作よりストーリー構成が洗練され、読みやすさがアップした。 基本的にはカサンドラ、ネル、イライザの3人の視点がクルクルと入れ替わり、何故ネルが4歳でオーストラリア行きの船に置き去りにされていたのかが明かされていく。先が気になってどんどん読み進めてしまう。 少しだけ気になるのは、ネルとカサンドラの性格が似通っていて視点切り替えの効果が弱い点ぐらいか…2023/12/04
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
161
初めましてのケイト・モートン。イギリスからの船でオーストラリアにやってきた名前すらないひとりの少女。彼女の出生を巡る謎を三世代の視点を転々としながら紐解いていく。 派手さはないが緻密な描写に、じわじわと自分自身が系譜を紐解いているようなわくわく感が高まってくる。タイトルからか、遠い昔に読んだ「秘密の花園」を思い出させるような。「エマ」のような正統派英文学の香りを感じるような。肌寒くなってくると毎年英文学系の話が読みたくなってくるなぁ。(これはオーストラリアだけど)ページを繰るのが楽しいのでこのまま下巻へ。2018/11/03
はたっぴ
97
本屋で平積みされている『湖畔荘』を読んでみたくて、まずはこちらを手に取った。著者の作品は初めてだったが、身元不明の幼い少女が埠頭に取り残される冒頭のシーンから早々と心を掴まれた。少女・ネル、孫娘のカサンドラ、ネルの出自にかかわる人々…。いくつかの物語(時代)が交錯するため、場面設定の理解が必要になるが、作中で描かれている童話(お伽噺)が子供心を惹きつける不気味さを備えていて、下巻にどう繋がっていくのか楽しみで仕方ない。美しい装丁の本を鞄から取り出す時のワクワク感もある。下巻も大事に読もう。2018/02/23
naoっぴ
88
これぞ物語!な作品。親切なおば様にイギリス発オーストラリア行きの船に乗せられ、見知らぬ国で一人ぼっちにされた名も知らぬ少女。ネルと名付けられた彼女は成長して自分のルーツを探し求めるが、これが実に複雑でミステリアス。母子三代、100年にも渡る壮大なドラマの扉が、複数の年代と視点によりひとつひとつ開けられてゆく。謎に満ち、絡み合った運命の糸はどう紐解かれるのか。そしてネルは誰なのか?これはわくわくする。すぐに下巻へ。2018/04/11
ちょろこ
83
スタートからひきこまれる物語、の一冊。「ここで待っていてね」の言葉と共に船にたったひとり取り残された少女。そこから始まる女性たちの物語。違和感なくすんなり入りこめるほどの世界観に今回も大満足。ネルが自分の出自の秘密を知り、過去へと囚われていく過程は三つの時代を行きつ戻りつしても、苦もなくひきこまれるほど読み応えのある展開。一体何が自分の運命を決めた鍵なのか、この先どんな秘密が待っているのか…不安と期待を胸に下巻へ。2018/09/18
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