内容説明
本郷菊富士ホテルの出逢いで始まったX子との関係は、泥沼のような生活を強いた。真杉静枝の誘いで出かけた、脱出にも似た台湾旅行から起こす下巻は、敗戦の日、8月15日の感情で終る。戦時下の暗鬱と苦悩のなか、志賀直哉、青野季吉、中野重治らとの交流を通じ、みずからの辛い日常、作家たちの風貌を鮮明に描く、自伝的文壇回想記。野間文芸賞受賞『年月のあしおと』の続篇。上下2巻完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
フリウリ
11
X子との日々は本当につらそうだが、和郎自身のX子への優しさは徹底している。どこかでX子のことを、小説の登場人物と見る意識もあり、しかしそれが現実に自分の身に起きていることに気づくたび、強い衝撃を受けている。和郎は、虚勢を張ったり権力をもつことを嫌った。そのような性格が、戦時中もわりと自由に行動できた原因だろうと思う。一方で、X子に悩まされるなか「自分は酒が呑めないので気分転換できない、酒が呑めたらなあ」と愚痴るところは、そういう悩みもあるんだな、と酒飲みは思いました。太平洋戦争終結とともに本書も終結。82025/11/20
月
7
★★★★★(「続・年月のあしおと」を読み終える。正・続の上下巻合わせて4冊を続けて読むも、読み進める手の止まることのない連作だった。続編・下巻は主にX子との泥沼で精神的にも崩壊寸前の危険な関係、太平洋戦争へと突き進む戦時下の生活、台湾・朝鮮・中華民国への訪問、志賀直哉や青野季吉、中野重治等との交流、そして終戦(8月15日)までが描かれている。特に戦時下の外国(台・朝・中)における現地日本人への人格の指摘は鋭い視点で描かれており、広津の日本の近代(政治)に対する痛烈な批評もなされている。) 2013/06/24
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