内容説明
明治・大正・昭和の文学的追想。ことに大正から昭和の時代風俗、文壇の裏面史をぎっしりと埋め込み、芥川龍之介をはじめ同時代の作家の風貌をいきいきと捉えた、自伝的文壇回想録。正篇を上下二巻に編集、上巻には大正4年終生の友人・宇野浩二との親交を深めた三保松原の旅行、父・柳浪が病気療養のため東京から知多半島師崎に転ずる前後までを収録。野間文芸賞、毎日出版文化賞受賞作品。<上下巻>
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
月
11
★★★★★(1963年野間文学賞作品。「同時代の作家たち(岩波文庫)」もそうだったが、広津和郎の随筆(回想記)は面白い。又、読み進める手も何処か楽しい。内容も興味深いものがあるが、文体表現が上手で文章がすんなりと胸の中へ入り込んでくる。どう表現したらいいのか分からないが、こういう巡り会いは嬉しい。「年月のあしおと」は、広津の幼い頃から後年までの自伝的文壇回想記ではあるが、これはこれで一つの小説のような仕上り具合とも言えるのではないだろうか。登場人物たちへの広津の目を通した表現力(筆質)が魅力的でもある。)2013/05/31
フリウリ
6
神楽坂近辺、また麻布霞町近辺で生まれ育ち、早稲田に通い、就職が嫌で翻訳で金を稼ぐようになり、やがて小説家となる広津和郎による自伝的エッセイ。和郎の若い頃は自然主義全盛の時代ですが、その目から見た父(硯友社出身の柳浪)、同時代の文学者の動向、ロシア文学・フランス文学の受容の状況が証言されていて、たいへん興味深い。和郎の小説で、なぜ父・柳浪が知多半島の師崎に住んでいるのか謎でしたが、その理由もよくわかりました。こういってよいのか躊躇はあるが、小説よりも相当おもしろい気がする…。たいへんおもしろいです。92025/11/18




