内容説明
横溝正史が愛惜をもって描いた時代劇調ミステリシリーズ―江戸を舞台に、人形のような色男である佐七が繰り広げる推理劇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
55
定本全集二巻。捕物帳は季の文学といわれているが、その言葉に違わず江戸の四季や文物がミステリと重なり合って、謎の中にも駘蕩とした雰囲気を醸し出している。夜中に動く人形を扱った「敵討人形噺」や化け猫話「怪談五色猫」離魂病めいた「二人亀之助」等怪談めいた話が多くて読んでいて満足できるのだが、一番気に入ったのは何といっても「本所七不思議」。短編の中に七不思議を組み込んでしかもそれが名高い本所の七不思議。一つ一つの不思議の密度は薄いけど、こういう江戸の巷説扱った話って好きです。やはりのんびりしたミステリ、いいなあ。2020/09/11
くさてる
15
人形のようにいい男だから、ついたあだなが「人形佐七」というのがたまらないじゃないですか。しかも粋で頭も良くて気風が良い。ちょっと女癖が悪いけど、恋女房のお粂とは熱々の仲。そんな岡っ引きが、謎の事件をめぐって江戸中を駆け回る捕物帳です。ミステリとしてはあっさり読めますが、ところどころに横溝らしい耽美さやグロがあって、それがまた良い。もっと読みたいよ!2021/06/30