内容説明
編集者の母と二人暮らしの百花はある日、叔母に誘われた「紙こもの市」で紙雑貨の世界に魅了される。会場で紹介されたイケメンだが仏頂面の一成が、老舗企業「紙屋ふじさき」の親族でその記念館の館長と知るが、全くそりが合わない。しかし百花が作ったカードや紙小箱を一成の祖母薫子が気に入り、誘われて記念館のバイトをすることに。始めはそっけなかった一成との関係も、ある出来事で変わっていく。可愛くて優しい「紙雑貨」に、心もいやされる物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
333
和紙をテーマに、和紙に対する愛情、温かさ、優しさがすごく感じる話。一成の和紙に関する知識量がすごい。一成は百花と出会ったことで、和紙だけでなく人と向き合って何かをつかんでほしいな。物語はというと、百花が小物を作る所は、映像が浮かび“できるかな”のノッポさんのよう。日本橋ツアーのシーンは“出没!アド街ック天国”のようで、昭和の香りが漂う。もしかして、ほしおさなえさんは、和紙、活版印刷、金継ぎ、銀塩写真、古い空き家など昭和の古き良き物を現代に甦らせて、今の人に利用してほしいと考えているのかもしれませんね。2020/03/26
さてさて
272
『持ってるだけで紙はロマンよね。それはわかる』。そんな『紙』に多方向から光を当てていくこの作品には、普段何気なく手にしている『紙』が持つ素晴らしい魅力に気づかされる物語が描かれていました。『紙こもの市』に行ってみたくなるこの作品。これからはじまる物語という印象の結末に、清々しい思いが湧き上がるこの作品。この物語がシリーズ化されるのもさもありなんと思わせる『紙』の魅力がこの先も物語をぐんぐん牽引していくであろう極めて前向きな、清々しい物語。『紙』を大切に思う人たちの熱い想いに感じ入る、素晴らしい作品でした。2025/11/05
シナモン
175
今回は紙がテーマ。忘れ去られていきそうな日本の伝統の世界がいつもながら丁寧に描かれていて興味深かった。いろんな和紙を集めて綴じたノート、素敵だな。あまりにも素っ気ない変わり者の館長と百花のやり取りにヒヤヒヤする場面もあったけど、記念館のこれからとともに、これからどんな風に変化していくか楽しみ。他のシリーズとの繋がりもあるのかな。続けて読んでいきたいと思います。2021/05/01
mariya926
159
紙屋ふじさき記念館でアルバイトを始める主人公の百花。館長である一成は紙については詳しいけど、愛想がないので少し怖い存在。この二人+大学の友人で、廃館になりそうなふじさき記念館を盛り立てていくストーリーです。イベントやInstagramでどう盛り上げていくかも詳しく載せてあって、そうやって拡散していくんだと分かりました。それぞれが自分の得意分野で頑張っていて、ちょっと頼りなく百花も古紙を活用するアイディアが良くて、読んでいて面白かったです。シリーズになっているので続きも読みます。2021/11/18
ゴルフ72
155
ほしおさなさんらしい作品!手を伸ばせばどこにでもある紙だが和紙となると中々手に取る機会がない時代に、この作品は和紙のすばらしさを教えている。大学生の百花がそりのあわない藤崎一成と出会い、より一層和紙のすばらしさを知り、父の影を追いながら前に進んでいくこの物語はどのように発展していくのかが楽しみな作品になっていくことは間違いない。次号を楽しみしています。2020/03/23




