内容説明
仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶。
NHKドラマ化で話題の人気シリーズ!
ミステリ専門書店でアルバイトとしながら、〈白熊探偵社〉の調査員として働いている葉村晶に今日も事件の依頼が……。
「水沫(みなわ)隠れの日々」
終活で蔵書の処分を頼んできた女性のもう一つの依頼は、死んだ親友の娘を刑務所から連れてきてほしいということだった。刑務所から女性の元に向かう道で、娘は拉致される。
「新春のラビリンス」
大晦日の夜、解体直前の〈呪いの幽霊ビル〉の警備をすることに。ヒーターが壊れ、寒さの中一夜を明かした葉村は、女性事務員から連絡が取れない男友達の行方を調べてほしいと頼まれる。
「逃げだした時刻表」
葉村の働くミステリ専門店でGWに〈鉄道ミステリフェア〉を開催することになった。展示の目玉として借りた弾痕のあるABC時刻表が盗難にあう。本の行方を追ううちに思わぬ展開に。
「不穏な眠り」
相続で引き継いだ家にいつのまにか居座り、そこで死んでしまった女の知人を捜してほしいという依頼を受けた葉村。女を連れ込んだ男の家を訪ねたところ、男の妻に危うく殺されかける羽目に。
解説・辻真先
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
327
道を踏み外した、真っ当な人生を生きられなかった女達のお話。いくら不運とはいえ、こんなに殺されかけるなんて、葉村晶が生存しているのが不思議なくらい。富山店長、葉村晶のお給料、上げてあげて!2020/01/15
へくとぱすかる
273
ABC時刻表がからむ「逃げ出した時刻表」を目当てに購読。店長の掲げる鉄道ミステリの作家名の中に、はてな? 全く知らない名前。私の不勉強かな、と思ったらそうじゃなかった。さすがに実在の作家を事件にはからめられないものね。本当は書店員なのに、つくづくひどい目に遭う探偵だなぁ。気の毒でしかたがないが、彼女のタフさに救われる。実はシリーズだと知らずに購読。でもこれをきっかけに葉村晶ファンになれるかも。2019/12/23
星落秋風五丈原
237
新年からショボい頼み事をしていた葉村晶シリーズが何とNHK総合で連続ドラマになった!しかもハムラアキラとなぜか全部カタカナ読みになってる!それだけでかっこいいじゃないか。演じるのはシシドカフカさんと、こちらも全部カタカナ読みだ!何だか番宣ポスターもかっこよくて同一作品と思えないぞ!そんなこんなな(どんなだよ)葉村晶の最新作が短編集で登場。このヘーワな日本で何ひとりハードボイルドやってんだよと言いたくなるような願いごとだが、実際彼女の身の回りではこれらの事が日常茶飯事で起こっているのだから仕方ない。2020/01/02
佐々陽太朗(K.Tsubota)
193
「このミス」上位常連。しかしあくまで1位ではない。1位になれないとけなしているのではない。葉村晶シリーズはそうした作品なのだろうと言いたいのだ。このシリーズは読む人を選ぶ。ハードボイルドではあるが、シブくカッコイイ主人公ではない。四十代のおばさん探偵、しかも四十肩と膝に不調を抱えているのだ。テイストもほろ苦くなんとも言えない後味の悪さを持つ。さて、五十代、六十代の葉村晶はどうしているのだろう。はたして若竹さんは、この後そうした葉村晶を書く気がおありになるのだろうか。気になるところである。2020/02/19
nobby
154
葉村シリーズ第7弾も災厄三昧で痛々しい…冒頭で時候や場所が語られだしてすぐに、いちいち「わたしは葉村晶という。国籍・日本、性別・女。吉祥寺の住宅街にー」と自己紹介のなされる短編4つ。それにしても水難いや泥難に極寒に盗難に縊死にナイフにと不幸をどんだけ呼び込むのか…ちゃんと苦しみ悔いながらも飄々とタスクをこなす有能ぶりは健在。それ故に短篇での軽快な展開が心地よい♬「なんだそれ。」唐突に素の言葉で呆れる感情を表すのが大好き(笑)各篇ともにコンパクトながら明かされる真相は結構ややこしく大掛かりで気分はドンヨリ…2022/09/25
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