内容説明
旗本の平九郎が飲み屋で会った品の良い老人。高名な絵師の老人は岡場所でひと悶着を起こし、彼を頼ってきたのだが……。(表題作)出世に無関心で何の運動もしてこなかった平九郎に降って湧いた番入り話。迷いに迷った挙句に彼が下した決断は? (「番入り始末」)このほか、「喧嘩の手柄」「まことの簪」の四編を収録。市井の片隅に生きる人たちの哀歓を描いた、江戸情緒溢れる傑作人情時代小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
39
表題作は高名な絵師の忘れじの女との関わり。男も女も大人だねぇ。『番入り始末』は今後シリーズはどうなるんだろうと読者を不安にさせる。八丁堀同心殺しと平九郎、左門、卯之吉の子供っぽい意地の張り合いが同時進行する『喧嘩の手柄』が好きだ。2019/06/28
陽ちゃん
4
シリーズ物だったんですね。知らずに読み始めましたが、違和感なく読めました。小普請組に属する直参旗本の平九郎が遭遇する事件を八丁堀同心の左門や質屋の卯之吉たちと解決していきますが、4話目で平九郎が新番組頭のお役を受けることを決意したということは、シリーズもこれで完結なんでしょうかね。お役を受けるか悩む平九郎に左門がかけた言葉「一人じゃ何もできないってのは正しいかも知れません。でも、一人がはじめないと始まらない…」が印象的でした。2019/10/12
シンミチ
0
表題の「忘れじの女」が良かった。2021/12/09
goodchoice
0
主人公の平九郎の人柄が物語全体に溢れていて、なかなか楽しめる。初めて読んだシリーズだが、市井物としての面白さがとてもよい。と思ったらこの結末だと、完結なのだろうか。そうだとすると悲しい。2019/09/24