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内容説明
権力の圧力に対する映画人の様々な生き方
かつてハリウッドで、貧しき者に味方し、
戦争に反対するだけで売国奴の汚名を
着せられた時代があった。戦い続けた者もいた。屈した者もいた。
彼らの物語が今の、この日本で、
劇画として読まれる意味はあまりに大きい!(町山智浩)
非米活動委員会がハリウッド・テンの次に狙うのは、
映画界を代表する巨匠エリア・カザンだった。
国からも組織から裏切られたエリア・カザン。
苦悩の果てに密告を選んだカザン。
彼のもとに様々な抗議が寄せられるが…!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
17
エリア・カザンの主観で物語は綴られているので、密告者をヒーローとする『波止場』でオスカーを受賞した場面で、世間に密告を認めさせたとカザンの勝利を劇的に描いているように見えるが、一転、証言を拒んだことでブラックリストに名が載ったトランボが実名で仕事ができない苦悩を対比させて配置していることに気付くと、やはり山本おさむは、カザンには冷やかな眼差しを送っているのがわかる。とはいえ、最も憎むべきなのは、赤狩りというシステム、それを作り上げ、利用する人間であることを山本は忘れない。(つづく)2019/11/01
ムーミン2号
10
赤狩りを強行していた、ジョン・マッカーシーも追放され、下火になったかに思えたが、赤狩りの影響は庶民にまで及び、ドルトン・トランポ(脚本家で刑務所送りにまでなっている)の家族まで学校や近所から陰湿ないじめや嫌がらせを受けてしまう。それも赤狩り組織員(かなり上層部)のほぼ、個人的感情から発しているのだから、大衆の怖さを感じさせられる。トランポは偽名で書いた脚本でアカデミー賞を受賞しているのだが、内容的に優れているものと共産主義とは合致しないことが赤狩り連中(&大衆)には不明なのだろう。強烈な作品だ。2019/11/03
笠
6
4 新刊読了。同じ映画をテーマとした漫画とはいえ、『おやすみシェヘラザード』の直後にこれ読むと高低差で耳キーンなるな。FBIのえげつない脅迫に屈して密告者となったエリア・カザンの汚名返上編が終わり、再び物語の中心はドルトン・トランボに。トランボは自身を含め、ブラックリストの変名脚本家がアカデミー賞を受賞したことをもって潮目がかわったと見て、ブラックリストの撤廃に勝負をかける。しかし、FBIのキビーの卑劣な破壊工作がドルトンの家族をも脅かす。赤狩りに加え、黒人の公民権運動なども絡んできて非常に興味深い。2019/11/18
Iwata Kentaro
6
ますます充実の展開。ほとんどが史実なことに驚く。まだまだ米国現代史は勉強不足。2019/11/17
ぴっちゃん
4
エリア・カザンの保身行動と、その映画人としての才能は分けて考えるべきかも知れないが・・・アカデミー賞「名誉賞」の受賞に値する行動なのか?と疑問視する人が多いのは頷ける。追放された脚本家達が偽名での作品のアカデミー賞受賞が続き、トランボは表舞台に出ようとするが、その私生活を脅かす陰謀が巧まれていた・・・。もうほんとうに、「民主主義」の皮を被った非民主主義的なFBIらに腹が立って来る。公民権運動、ローザ・パークス、モンゴメリー・バスボイコット、キング牧師なども描かれますます読み応えあり。2019/11/25