内容説明
斉が行方不明になってから、一週間以上がたった。神子としての記憶が甦りつつある明琉は、毎夜斉の夢を見ていた。夢の中では、明琉は邪馬台国の女王・卑弥呼。斉は敵国・狗奴国王の速彌。速彌を見て卑弥呼はひと目で恋に落ちたのだった……。剣道の県大会に出場した明琉は、快調に勝ち進むが、明琉は自分を操る斉の気配を感じる。次の対戦相手は、強豪・宗像三兄弟を擁する神湊学園。三兄弟の多紀理と対戦した明琉の周りで突然異変が起こった。場内の時間が止まってしまったのだ! ※あとがきは収録されていません。
感想・レビュー
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カナン
31
「八魔途(やまと)」って当て字、好き。登場人物の名前や出身地が全部過去の伝承にリンクしていくの、すごく好き。今よりずっと現世と幽世の境が曖昧だっただろう、遠い遠い、文字での記録すらほとんど無かった昔の日本国では、神も魔も霊も妖ももっとずっと近い繋がりを感じられていたのかもしれない。魂だけが彷徨い続けて幾星霜。やっと肉体を得れば、遺伝子が呼応する懐かしさ。夥しい記憶と感情が蘇った時、俺たちは何処へ行こう。愛する国と、愛する人と。何処までも愛し守りたいと思い出した時、少年少女の力は何処へ向かっていくのだろう。2020/05/27