内容説明
1969年夏、ロサンゼルスの高級住宅地にある自宅で映画監督ロマン・ポランスキーの身重の妻、女優シャロン・テートが惨殺された。
実行犯はカルト教祖チャールズ・マンソンを崇める“ファミリー”といわれた彼の信者たちだった。
平和的なヒッピー集団が戦闘的な殺人結社と化するまでを圧倒的な迫力で追ったすさまじい犯罪ドキュメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
51
詩人、ミュージシャンとして同時代を生きた筆者にとって、C.マンソンは陰陽の関係にあったのではないか。だからこそこの事件に取り憑かれた。ルポルタージュを期待するなら他を当たるべきだが、当時の息吹を感じられる歴史的資料として一読の価値あり。2019/10/16
ぐうぐう
31
マンソン・ファミリーがロマン・ポランスキー邸を襲撃したのは、そこにシャロン・テートがいたからではなく、まったくの偶然であったことは周知の事実である。しかし、マンソンとポランスキーは、実に表裏の存在として見事に対照的なのだ。カリスマとしてハリウッドの階段を華麗に駆け上るポランスキーと、カリスマとしてイエスを名乗りカルト集団を率いるマンソン。両者は同じようにパーティーを主催し、ドラッグで陶酔感を高めていた(実際、シャロン・テート事件が起こった際、捜査当局はマンソン・ファミリーにではなく、(つづく)2019/10/08
活字スキー
21
それはチャック・ザ・ナイフ改め、セックスとドラッグに満ちたチャーリー・アンチ・クライストの伝説。黙示録の四騎士がホワイト・アルバムを通して呼びかける。さあ来いよチャーリー、立ち上がれ。終末の時ヘルター・スケルターが迫っている。気鋭の映画監督ロマン・ポランスキーの愛妻シャロン・テートは臨月を迎えていた。知ったことじゃない。おまえたちは、みんな死ぬんだ。世界で最も高貴な銃、コルトSAAバントライン・スペシャルが火を吹く。ブタどもに死を。2018/10/31
owl&shepherd
3
「XXXX年X月X日に、○○が、□□と、△△で、◇◇した」こんな文章が延々と続く。内容は犯罪とセックス。読み通すには忍耐が要る。負の側面をいろいろ言われながらも、とにかく「ラブ&ピース」を標榜していたヒッピー・ムーブメントに幕を下ろすことになったチャールズ・マンソンを突き動かしたものは結局よくわからなかった。本人たちだって、わかっていないのでは?「連合赤軍」、「オウム」に匹敵するような事象なのに、日本語の書籍がほかにない。最近Fire買ったから、Kindle洋書を一冊試してみようか。2017/09/13
gerogeC
2
(上巻より続き)闇に目が慣れる、影だったものが像を結ぶ。それは戦慄の瞬間でもある。マンソンを頂点とした奇怪な力関係、洗脳のロジック、殺人に至るまでの集団心理、そのすべてを解決するための本ではない。ただ、まるで彼らが夜な夜な行う目的も内容も不明瞭な儀式に立ち会ったかのような得体の知れない不安が、ときおり思い出したように挿し込まれる作者の冷めきった皮肉と共にいつまでも心に巣食う。2017/03/22