内容説明
1969年夏、ロサンゼルスの高級住宅地にある自宅で映画監督ロマン・ポランスキーの身重の妻、女優シャロン・テートが惨殺された。
実行犯はカルト教祖チャールズ・マンソンを崇める“ファミリー”といわれた彼の信者たちだった。
平和的なヒッピー集団が戦闘的な殺人結社と化するまでを圧倒的な迫力で追ったすさまじい犯罪ドキュメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
こばまり
55
人好きのするケチなペテン師が、如何に悪魔となり得たか。多彩な講師陣の下、たっぷりと思索の時間を過ごせたムショ暮らしのお陰である。セックスとドラッグとチャーリーのカリスマで、さながら光に集まる虫のように多くの人々が吸い寄せられ、時間や若さ、資産、才能、人生を空費していく様が恐ろしい。2019/10/02
ぐうぐう
34
思索に集中するには、刑務所ほどうってつけの場所はないのかもしれない。そう言えば、ヒトラーは獄中で『我が闘争』を執筆した。チャールズ・マンソンも、檻の中で思想を形成していった。出所後、ファミリーと称するカルト集団を指導し、自らをキリスト、時には悪魔と名乗り、やがてカリスマと化していく。ただ、この男には教養がなかった。なかったからこそ、矛盾を恐れることなく、なんでもかんでも吸収することができたとも言える。とはいえ、この男をモンスターにしたのは、紛れもなく1960年代という時代である。(つづく)2019/10/06
活字スキー
23
アポロが月に人を送り届け、ベトナムではナパームと枯葉剤が振り撒かれていた60年代後半。サマー・オブ・ラヴ。フラワーパワーが全米に吹き荒れ、あまたのヒッピーがラヴ&ピースを唱えた。そんなコミューンのひとつがやがて全米を震撼させ、負のアメリカの象徴としてサブカルチャー・アイコンの伝説となろうとは、果たして誰に想像出来ただろうか。チャールズ・マンソンと彼の「ファミリー」の道を克明に辿る入魂のノンフィクション。詳しい感想は下巻にて。2018/10/27
gerogeC
2
膨大すぎる量の固有名詞と分単位での事実列記、意図的に人間の心理を掘り下げない筆致からはファミリーの足跡と事件の経緯は十分すぎるほど伝わるとしても、その悪魔的業績の端緒には到底辿り着かないように思える。ただ感情の排除された不気味な(「ゾンビー」のような)共同生活の行間に目を凝らすと、「チャーリー・マンソンと彼のファミリー」がサマーオブラブの夜にまぎれてLSDの催す幻覚に耽り、盗難したデューンバギーに改造を施し、ときには牧場にじっと息を潜めている影の輪郭が、おぼろげながらも見えてくるような気がする。2017/03/22
ほたぴょん
1
ディアゴスティーニが出していたMurderCaseBookという雑誌があって、その第1巻で取り上げられたのがチャールズ・マンソンだった。日本版だけ2巻が佐川一政で、以下、ジョン・ゲイシー、テッド・バンディ、アイリーン・ウォルノス、アンドレイ・チカティロという感じに続く。殺害人数や殺害方法では彼らより地味に思えるマンソンが第1巻だったのは、つまり彼らよりマンソンの方が社会に与えたインパクトが大きかったと判断したからだろう。古いアメリカ文化からの自由を象徴したヒッピー文化の、その一面における闇の体現者として。2024/06/18




