内容説明
悪を懲らしめて善悪の帳尻を合わせるという「帳尻屋」の成り立ちには、どうやら時折蛙屋忠兵衛を訪ねてくる「だぼ鯊」と綽名される奉行所の役人が大きく絡んでいるらしい。琴引又四郎は「帳尻屋」の仕事を手伝いながら、その謎に迫っていく。紙縒で封印された愛刀を抜く時は訪れるのか? 期待のシリーズ連続刊行第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
「帳尻屋始末シリーズ」3作の最終作でこれに並行して読んでいる「帳尻屋仕置シリーズ」7作が続きます。いつもながら3つの話が収められていて、裏の始末屋の使命を与える「だぼはぜ」の正体が明らかになります。剣の強い人物の過去も明らかになります。出雲から出てきている剣を抜かない(こよりで結んでいる)又四郎が元いた藩の姫君が危機に陥り遂に剣を抜いて悪を懲らしめます。やはり勧善懲悪作品は安心して読むことができます。2025/06/03
とし
56
帳尻屋始末「相抜け左近」3巻。やっとシリーズ3冊目にして、義を貫くため、琴引又史朗さん封印している紙縒りを切りました。柳左近さんのつらい過去も明らかに、今後市井でどう暮らしていくのか志津さんが心の支えになっていくのか次巻が楽しみ。2014/05/24
ベルるるる
21
柳左近の悲しい過去がわかり、だぼはぜの正体もわかった。又四郎はついに剣を抜き、人を殺し陥れてものうのうと生きている悪人を成敗する。これで人任せではない帳尻屋の一員となった。2019/04/24
ツキノ
14
【義をみてせざるは勇無きなり】2014年3月発行。師走から弥生にかけて。又四郎にとっては大きな変化があった。「相抜け左近」だぼ鯊の名は長岡玄場蕃。柳左近は自分が果たせなかったことを早見縫之助に託したい。左近の過去。北町奉行の曲淵甲斐守「柳よ、ようやった」。「佐那姫受難」又四郎の故郷母里藩の姫が拐かされる。しかし四人の賊を切ったのは姫と腰元の梅だった。又四郎は故郷で佐那姫から「あれが本物の剣士じゃ」と言われたことがある。「おぬしも因果の糸車から逃れられなくなったというわけか」。「本懐」の3編。ついに!2024/11/04
あかんべ
8
寡黙な柳左近の秘密が解る。抜かずの叉兵衛が遂に抜いた。主筋の姫の危機。ここで抜かずば武士では、いや男じゃないでしょう。一旦抜くと理想の父を重ねる善右衛門の無念を晴らすため抜ける。けれどすっかり相棒となった左近と真剣勝負での相抜けは出来ない気がする。2014/04/27