内容説明
「公正な社会」とはどういったものか。権利や財の分配で可能になるのか。米国の政治哲学者ロールズは、一九七〇年代以降、社会のあり方を根底から問い直し、世界に新たな地平を切り開いた。本書は、ロールズの考えを起点にリバタリアニズム（自由至上主義）やコミュニタリアニズム（共同体主義）など六つの思想潮流から正義とは何かを問う。格差や貧困など現実課題との接点に、個人の幸福を支える平等な社会の可能性を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
ロールズの「正義論｣を基本にしてその後の六つの思想的な流れを説明してくれています。新書にしては内容がかなり程度が高い気がします。ここに書かれてあることを本当に理解するにはもう少し説明の多い本でないと難しい感じです。いい本だとは思うのですが一般向きではないのではないかと思いました。2019/05/20
まちゃ
72
現代正義論の入門書。個人の善き生と、それの基盤となる公正な社会(正義)に関する現代正義論の様々な視点についてまとめられている。自由(個人の幸福)と民主主義(社会の公正)の価値と課題について考える切っ掛けとなる良書だと思います。『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーの例え話は、分かり易く、著者の愛嬌を感じるものでした。2023/06/10
樋口佳之
58
ロールズについての章だけ再読。電子本、時間と場所を選ばず再読したい時に落として読めるのは便利です。書かれている事の意味が初読時よりずっとつかめました😊2022/02/22
s-kozy
54
これからの人類には多種多様な価値観を受け入れることが必要だと思うのだが、まだまだ「正義」の定義付けすらできていない。希望のある未来を次世代の人達とともに築いていきたいものだ。2019/07/13
樋口佳之
47
かなり要再読状態。/正しい社会のあり方は論じられなければならず、また論じられ続けなければなりません。この意味で正義論は実践的な使命を帯びた、しかしながら驚くほど地味で綿密な知的フィールド/フェミニズムに一章さかれているのが良いと思いました。それは全く正義に関わる問題/意図されているのは特別扱いではなく、その身体的な脆弱性への配慮です。脆弱性への配慮は、正義にかなった社会の要求なのです。2019/03/31
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