ビッグコミックススペシャル 藤子・F・不二雄SF短編＜PERFECT版＞（５）メフィスト惨歌

著者名：藤子・Ｆ・不二雄【著】

小学館（2018/02発売）

• ISBN：9784091762054

内容説明

巨匠、藤子・F・不二雄が遺した数々のSF短編すべてを、単行本未収録作品も含め年代別に完全収録し、愛蔵版単行本として刊行。全8巻・112話におよぶ珠玉の名作集。

SF＝SukoshiFushigi。上記の表題作「メフィスト惨歌」をはじめ、パラレルワールドをテーマにした「ぼくの悪行」「ふたりぼっち」、突然3億年分の進化を始め、人間を上回る科学力を身につけたゴキブリたちのコミカルな話「うちの石炭記」、ウイルスにより人類全てが吸血鬼化していく「流血鬼」、輪廻転生を扱った「影男」、宇宙を舞台にした「ベソとこたつと宇宙船」「宇宙船製造法」、亡くなった人への思いを優しい眼差しで描いた「山寺グラフィティ」など、色々なタイプのSF短編作品全11話を収録した『藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版』の第5集。これまでの1～4集は大人向けの作品が大部分をしめていたが、本巻は比較的、読者の対象年齢を下げて描かれたと思われるユーモラスな作品が多い。ひと味違う藤子・F・不二雄の世界が楽しめる決定版！

友人に裏切られ、失業し、恋人にも捨てられた、まったくついていない男・高木健。そんな彼の前に、この数十年間、契約が取れないというさえない悪魔・メフィストが突然現れた。メフィストは「魂と引き換えに、望みをかなえる」というお決まりの約束で、なんとか高木と契約を交わすが…（第11話）。

目次
第1話　並平家の一日
第2話　ぼくの悪行
第3話　うちの石炭記
第4話　流血鬼
第5話　ベソとこたつと宇宙船
第6話　ふたりぼっち
第7話　影男
第8話　宇宙船製造法
第9話　山寺グラフィティ
第10話　マイ・ロボット
第11話　メフィスト惨歌

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[まるほ]

以前『異色短編集』として文庫版でまとめられた４冊のうち３冊までは読了したのですが、最後の１冊は図書館に所蔵されていなかったのであきらめていました。このたび、別途『ＳＦ短編ＰＥＲＦＥＣＴ版』として全８冊があることに気付き、全ての作品を網羅しようと取り寄せてみました。▼成年誌向けに描かれた作品もあるので、ホラーチックだったり、風刺が効いていたり、“ドラえもん”のテイストとはちょっと異なるのが興味深い。▼巻末のビックコミックの初代編集長のあとがきでの、『ミノタウロスの皿』が生まれた経緯がとても興味深かったです。

2021/06/06

[kei-zu]

「流血鬼」は掲載の少年サンデーを読んだ記憶がある。価値観の逆転に興奮したことを覚えている。実際のところ、映画化もされた海外SF小説へのオマージュなのだが、その作者の名前がウイルスの名前に使用されるなど明らかな確信犯。著者が描きたかったのは、オリジナルに比して「美しい」ラストシーンにあるのだろう。 「宇宙船製造法」のSF的展開も見事だが、本作の読みどころは、何よりも登場人物の人間関係。 F先生のやさしいお人柄がしのばれます。

2021/01/12

[袖崎いたる]

バイオレンスな作品が印象的。「流血鬼」って作品はバイオハザードの吸血鬼版みたいな話なんだけど、コロナがいつのまにか身近に迫ってたみたいなサスペンス感がある。人間は抵抗するんだけど、吸血鬼が大勢になった世界にとって眠ってる人間の心臓に杭をブッ刺す姿は流血鬼だ！とか言われたりして。結局主人公も吸血鬼になってしまうんだけど、いざなってみると抵抗してたことが馬鹿みたいになるっていうシニカル。吸血鬼になってから友達と夜間に出歩く最後の場面は感動的だったのでオススメ。ゴキブリが家の中で文明を築く話もおもろかった。

2020/12/24

[コリエル]

宇宙船製造法のオチ、銀英伝はこれを見てアイデアをもらったのかな。共通の元ネタがあるのかもしれないけど。メフィスト惨歌は人間の方が狡猾という見ないこともないネタだが、重箱のスミを突っつくような細かいやり取りによって面白さを増しているのが流石。

2018/05/02

[ひさか]

全11話。まとめて読むと、読み応えあります。 第10話マイ・ロボットは21エモンのゴンスケに通ずるところがあって面白い。 この方もマンガの神様です。

2012/08/22