内容説明
新約聖書の「使途言行録」「パウロの手紙」が、ワンゲリンの読みやすく鮮やかな描写により、壮烈な奇跡のドラマとしてよみがえる。『小説「聖書」』3部作完結! イエスの教えを世界に広めようとするパウロは、いよいよローマの地にたどり着く。それを待ち構える残虐な性格を秘めた皇帝ネロ、哲学者セネカの苦悩など、パウロと彼を取り巻く運命に翻弄される人間の姿が、愛と感動とともに心に残る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shimashimaon
6
佐藤優・解説『新約聖書』を読んだ際も、「福音書」は面白いと思いましたが、「使徒言行録」と「書簡集」の世界にはなかなか入っていけませんでした。創世記で神はアダムの肋骨からイブを作ったのだから女性は男性に従うものだといった記述に馴染めませんでした。ここで重要なのは原罪であって、全知全能の神の意思をそういうものだと信じるだけなのだとは思います。本書は登場人物が1人称で語ってくれるので、パウロたちと同じ世界を見ているような気になることができました。セネカの手紙。その死を語るプリスカ。終始彼女の存在が印象的でした。2022/12/26