内容説明
鶴見俊輔氏が厳選した時代小説「鞍馬天狗」。
角兵衛獅子の少年・杉作を囮に、鞍馬天狗を取り囲んだ新選組。隊長・近藤勇も新手をひきつれそこに駈けつける。
大坂城代あての密書を奪った鞍馬天狗だったが、謀られて地下の水牢に閉じこめられる。恩人を助けようと城へ忍びこんだ杉作少年ももはや袋のねずみ――。
幕末の京を舞台に、入り乱れて闘う勤皇の志士と新選組。時代小説の名作「鞍馬天狗」から、評論家・鶴見俊輔氏が厳選した傑作シリーズの第一弾。解説も鶴見俊輔氏が特別寄稿。
※この鞍馬天狗シリーズは12月まで5冊、毎月連続で発刊予定です。
なお、この作品は2000年に発刊された小学館文庫を底本とした電子版と同じ内容になっています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミヤト
10
時代物。有名人がちらほら出てくる。文体としてあまり硬くないのが良い。2023/05/10
きのたん
2
題名からして難しい歴史の話かと思ったら少年向けの冒険活劇だった。大昔の人が書いたと思えないほどすらすら読めた。2019/06/05
でろり~ん
2
古い映画、としてしか知らなかった鞍馬天狗。ほほう、原作があったんですね。しかも大佛次郎。うひょお。鶴見俊輔セレクションとまできているんでは読まずにおれましょうか。時には知らないことも読書の幸せにつながるのでした。ふうん、こういう話なんですかあ。どうも月光仮面のイメージと被ってしまっていましたです。名前は知っていても内容を知らない代表的作品なのですね、どうも。近藤勇の描き方が何とも心憎いのでありました。40年以上に渡って書き継がれた特大娯楽作品。5作のみではありますが、存分に堪能させていただこうと思います。2019/05/21
cogeleau
1
幕末の京都で謎の勤皇派の志士として活躍する「鞍馬天狗」シリーズの一冊。最初の出版は昭和2年、少年倶楽部掲載後、渾大防書房から刊行された。少年向けとして書かれたものだが、知名度が高く、ほぼ古典的とも言える人気の長さを保っている。 身寄りのない子供たちが寝食の世話を受ける代わりに角兵衛獅子を舞って稼ぎを強いられている境遇。その困窮を救ったのが鞍馬天狗。少年杉作の視点から描かれる「天狗のおじさん」の活躍は、筋立ては平凡ながら尊敬と憧れの感情移入にあふれている。☆☆2023/02/07
ジュリ(村上)
1
あまりに有名な時代小説•大衆小説。ですます調で読者を引き込む文体は、年少者の読者を想定していたからか、落語や活動弁士の語り口を借りたのか。本作で新撰組が悪役とされているのは『新撰組は最初から日本人に人気があった訳ではない』ということの証左として目にする(新撰組の評価を逆転させたのは子母澤寛と司馬遼太郎だったとされているはず)。内容としては、読者を少年に同一化させ、多様だが多過ぎない登場人物を配置してストーリーが展開する。闘いの場面が多くはないのもよい(読者にとって、斬り合いの長い描写はいささかしんどい)。2020/12/21