内容説明
つわものが揃う山落に三十人抜きを挑んだ弁之助は、七人目で屈してしまう。「弁之助に欠けているものはあえかとでも言うべきもの」そう指摘され、彼らの集落で画を学ぶことに。里に戻ると今度は義父から、道林坊という住職に画の教えを受けるよう促される。現れたのは見事なまでの陪堂坊主。訊けば人を殺したことがあるという。躍起になって剣術指南を請う弁之助だが――。若き日の武蔵こと弁之助が血しぶきの先に見たものとは。傑作大河小説、第二巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あかんべ
6
1巻目でエロ具合に心配したが、読みたかっ廻国修行に出かける弁之助。力をもてあまし道林坊を傷つける。道林坊の飄々とした話しぶりや示唆に人としての成長をしていく。佐々木小次郎も登場し、面白くなってきた。2015/10/20
kaori
6
13歳~の話。気分が悪くなる表現が多かった。ようやく佐々木小次郎登場。2014/06/18
terukravitz
3
図書館本 ★★★☆☆2017/07/06
ハル
3
色慾旺盛、婬戯の腕前は申し分ない上達振り。多少の制御は覚えたが山篭もりの成果なし。引きも切らず女に誘惑されれば無理もないか。彼女らは弁之助の人間的魅力に惹かれるというより強い遺伝子を持つ男を本能で嗅ぎ取っているようだ。弁之助には女を発情させるほどの生命力が漲っている。道林坊の登場でほんわかしたどこか呑気な雰囲気が漂うようになった。何か凄い境地を知っていそうだが掴み所のない人。嫌いじゃないけど分かり難い。この男も相当気になる。さて、こんな調子で弁之助の武の道は拓かれるのかしらん。2015/07/18
舘守仁
2
キャラクター毎のファン投票をやったら、この巻で登場する道林坊はかなりの票を獲得するのではないか。「〇〇だなあ」という、ちょっと間の抜けた感じのする語尾の喋り方も他のキャラクターと際立って異なり、作者は特別な造形を試みているようにも見える。また、佐々木小次郎と初めて邂逅する湯治場の浴槽での説法では、「王国記」ともどこかで通底するはずの“宗教(心)”について考えずにはいられなかった。この作品で花村萬月はどこまでの広がりをみせるのか目が離せなくなった。2012/02/05