内容説明
「エントロピー」の誕生は難産だった。熱の動力をめぐるカルノー以来の苦闘をへて、熱力学はやがて第1法則と第2法則を確立し、ついにエントロピー概念に到達する。マクロな自然の秘密を明るみに出したそのエントロピーとは何か。「エネルギーの散逸」とのみ捉えられがちな誤謬を正しつつ議論は進む。第3巻は熱力学の完成とその新たな展開。マクスウェル、トムソンらの寄与とクラウジウスの卓抜な総合化、さらにギブズの化学平衡論により制約因子としてのエントロピーの本性が明らかとなってゆく。論文・書簡を含む多くの原典を博捜して成った壮大な熱学史。格好の熱力学入門篇。全3巻完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
58
2009/2/25 Amazonより届く。 2015/10/20〜10/29 熱学の思想を辿る最終巻。クラウジウスからネルンストまで。 19世紀以前の物理学ひいては科学が世の中のとらえ方を考える哲学であったことが良くわかる。 大学生時代この辺りのことを講義で聴いたときは、味気のない式変形の羅列であったが、このような展開で進めてもらえばもう少し興味を持てたかもしれないなぁ。2015/10/29
アドソ
11
この大仰なタイトルに目を奪われ、いつかは読みたいと思っていた。正直すべて理解できたわけではないが、熱を学問(物理学)の対象としてみるために人類が試みてきた思索の歴史、と言えようか。数々の科学者がそれぞれ貢献してきたが、現在単位にも名を残すジュールやケルビン卿はやはり別格だった。とはいえ現代の教科書は現在「正解」とされていることを前提に説明するから何のありがたみもない。熱力学の講義は「1年かけてこの3冊を読む」、でもいいかもしれないと思った。2024/10/18
BIN
6
ネルンストによる熱力学第三法則まで。統計力学にまでは立ち入らなかいということなので、エントロピーなのにボルツマンには触れられてないのは少し残念。クラウジウスによる第二法則の定式化やギブスの化学への熱物理学の導入など、名前は知ってても、いかに重要な役割を果たしていたのかがよく知れた科学史でした。この作品をまとめあげた著者に感謝。2021/11/10
roughfractus02
4
ニュートンの自然観が浸透すると熱に関わる身の回りの気象現象が逆に注目され、その概念が洗練されていく。本巻は、計測器具の材質の膨張や計測地の諸条件で変わる温度をどんな基準で測るか(多く計測器具の図版がある)という状況で、カルノーとジュールの矛盾を解決する絶対温度という考えが導入され、クラウジウスとトムソンが熱力学の第一、第二法則(エネルギーとエントロピー)を導出するまでが詳細に描かれる。こうして経験温度とから自由になった熱力学は化学に波及し、20世紀に化学者ネルンストの絶対零度の導入で第三法則が導出される。2019/02/21
maqiso
3
熱と仕事の関係を2つの法則にまとめ、そこからエントロピーという概念が生まれ、化学反応や平衡を統一的に表せるようになった。普遍的な法則を求めて作られた熱力学が、個別の反応や平衡を説明していくのが面白い。熱力学の基本的な法則や概念がなぜ必要とされたかがよく分かる。2019/04/16
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