内容説明
日本が世界に誇る文化であるマンガ。それは“貸本マンガ”という一風変わった土壌があったからこそ花開いた、と言っても過言ではありません。
水木しげるや白土三平など、マンガ文化をつくってきた作家たちを生んだ一方で、一般大衆に発信された貸本マンガには、当時求められていたものがストレートに反映されており、今日ではまずお目にかかれない、なんでもアリな表現が許されていました。
本書ではそうした、どこかおかしく、なにかヘンな作品の数々を、時にツッコミを入れつつ、貸本マンガばりに肩の力を抜いて解説していきます。帯には、まんだらけ副社長・辻中雄二郎氏、古書ビビビ店主・馬場幸治氏、元クイック・ジャパン編集長・赤田祐一氏のコメントを掲載し、巻末には赤田氏との対談も収録!
今のマンガでは見られない衝撃作が詰まった1冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スエ
65
まず、とにかく凄いインパクトの表紙。その名も「昭和のヤバい漫画」。数々のホラー?貸本漫画を、実際のイラストを交えながら解説します。 …とにかくヤバいのです。「地獄秘図」「危険少女マキ」「愛の机」。タイトルからしてコレですもの…。 また、作品を紹介しながらのツッコミが素晴らしい!! のっぺらぼう少女:こいつも百足の親玉。 など、ご丁寧に注釈して下さいます。 暑さも吹っ飛ぶ?一冊です!!2020/08/18
hnzwd
29
昭和30年代に隆盛を極めた貸本。商業ラインとは違うその存在は、話には聞いたことはあるものの、なんとなくのイメージしかありませんでした。本書はそんな貸本の凄さを紹介しつつ、内容にツッコミをいれていく、というスタイルなんですが、、、今まであった同系色の本に比べて、取り上げる漫画の内容が荒唐無稽過ぎて凄い。ストーリーとか起承転結とか無い!あるのは雰囲気と迫力だけ。みたいな漫画が満載でした。2016/03/05
conegi
6
好美のぼるつながりで。良くも悪くもエネルギッシュな昭和の時代の貸本怪作品解説。この時代の個人的なイメージは、勢いとパワーと出鱈目さだったし、概ねその印象は間違えていないが、この時代でもプロレタリア性というか、思想性の高い作品もあったのには驚き。好美のぼる先生は相変わらずで安心した。2023/10/11
ドント
3
昭和30年頃に勃興し昭和40年中頃には絶滅した「貸本漫画」。名作や偉大な漫画家を排出した一方、回転が早く戦後のどさくさ(←便利な単語)もあった故に珍作奇作駄作も山とあったこのジャンルの中から選りすぐりの変わった作品を引き上げて茶化しながらもお披露目していく一冊。思いつき、行き当たりばったり、二番煎じ、やたらと凄惨で残酷などヤンチャな作品ばかりだが、それゆえの原初の迫力と無闇な勢いに満ちていて心地よい。こうなると読みたくなるのだがなかなか読めないものが多いのがつらいところ。時代と黎明のあだ花の美しさ。2016/02/03
オシャレ泥棒
2
小松左京御大はやはりすごいなという感想に尽きる。というのは(半分)ネタだが、怖いもの見たさで購入したものの怖くて読めないかもしれないと思ったが、著者の的確なツッコミ、そして画力のおかげでそんなに怖くなかった。というか何度も笑った。小学生が描く漫画並みの画力と構成に、社会の闇を見てきた大人の思想と情念が合わさり、しかし作品として昇華できておらず不完全燃焼の何か異様なエネルギーが時代の徒花を咲かせております。【売】2016/03/14