内容説明
カルノー28歳、わずか1篇の論文『火の動力』で、熱力学の基礎を確立した。イギリスに誕生した蒸気機関は、フランスで効率改良の理論研究が進められ、彼は熱の生む動力の絶対的な制約を見いだす。だがその理論は巨視的自然の究極の真理に触れるラディカルなもので、技術者にも物理学者にも受け入れられることなく長く埋もれる運命となる。第2巻は、熱力学草創期。熱素説の形成と崩壊、そして熱力学第1法則、エネルギー原理の確立と進む。さらに議論は熱力学第2法則とエントロピー概念の形成へとのぼりつめていく。欧米にも類書のない広がりと深さに裏づけられた、迫力ある科学史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
61
2009/1/21 7&yにて購入 。2015/10/5〜10/19熱力学の歴史、第二集はカルノーからウィリアム・トムソン(ケルヴィン)まで。ようやく、現代の考え方に近づいてきた。最終巻に続く。2015/10/19
BIN
4
クラウジウス前まで。熱力学第一法則誕生までの実験と仮説の時代。天才カルノー登場にはわくわく。現代では当たり前のように感じる法則的なことが悪戦苦闘の末、生まれたのがよくわかる。ラプラスによる数学的表現、ジュールの精密な実験がすごいところでしょう。ワットは実験家としても優秀だったとは。2021/11/03
roughfractus02
3
熱を粒子と仮定した18世紀には、ラヴォアジェの熱素説を信じたラプラスの熱量学によって熱素が熱量を保存するという考えが広まり、熱現象の不可逆性から導出されるエネルギーという考えを覆い隠す。本巻後半になってもカルノーは熱素説を信じ、ジュールも不可逆性を考慮せずに、互いに対立し合っている。共に熱物質説に疑念を抱くものの、両者の統合から熱力学の法則の発見に至る道筋はまだ見えない。一方、実験と理論の世界の外では、産業革命が進行する中でワットの蒸気機関が現れて、温度と熱量の区別が意識され、比熱と潜熱が測定され始める。2019/02/20
maqiso
2
熱素説に基づいて熱量学が完成するが、カルノーサイクルと熱と仕事の互換性が発見される。数式は難しいが、普遍的な関係のみを扱える分野ができてきたことがよく分かる。成功したパラダイムの下では個別の反証は取り入れられるか理解されないかで、新しいパラダイムがない限り覆せない。マイヤーの思想は異質で笑える。2019/04/12
Dolphin and Lemon
1
第1巻よりかなり読みやすかった。(というかやはり第1巻は私たちが考えたこともないような抽象的な問題を扱っていたのだと思う。)問題が段々具体的になり、自分が元から知っている熱力学になるにつれて、登場する科学者達の凄さも伝わってきた。隅々まで理解することはできていないと思うが(格好の入門書って書いてあるけど果たして誰向けの入門なのか・・・)楽しく読み進められました。 (追記) ありきたりな感想だけど、自分たちが学校で習った「当たり前のような」熱力学だけど一つ一つ丁寧に見ていくと全然当たり前じゃないなと感じた2023/11/27
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